研究課題/領域番号 |
24651114
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 健二 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50127073)
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研究分担者 |
長谷川 雅考 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, チーム長 (20357776)
中嶋 薫 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80293885)
鳴海 一雅 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 高崎量子応用研究センター, 主任研究員 (90354927)
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キーワード | ナノ細孔 / フラーレンイオン / スパッタリング |
研究概要 |
昨年度の研究で、C60+イオン照射により密度の低下した照射痕が生じることを電子顕微鏡観察により確認した。電子顕微鏡は定量的な観察が困難であるため、今年度はイオン照射により実際にどれだけの原子が試料から放出しているのかを、定量性に優れたラザフォード後方散乱法により確認した。その結果、窒化シリコン膜に540keVのC60+イオンを照射したときに、C60+イオン1個当たり、シリコンが約1500個、窒素原子が約3900個と非常に多くの原子がはじき出されていることを確認した。 また、窒化シリコン膜に金をごく少量蒸着した試料にC60+イオンを照射すると、窒化シリコン膜に密度の低下した照射痕が形成されるとともに、照射痕周辺の10nm程度の領域で金が消失することを見出した。 さらに、より大きなフラーレンイオンであるC70+のシリコン窒化膜への照射により、密度がバルクの30%程度まで低下した直径4nm程度の照射痕が膜を貫通して形成されることを見出した。 以上の結果は、薄膜にナノ細孔を形成するまでは至らなかったが、さらに大きなフラーレンイオンの利用によって、細孔の形成が十分可能であることをが期待できる結果となった。研究を継続することにより、初期の目標であったナノ細孔の直接形成が可能になると考えられる。
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