研究課題
Si(111)-(7x7)表面において、ハーフユニットセルを微小な反応場(シャーレのようなものと考える)として、原子操作によりナノ構造体の作成を行った。Au原子1つがハーフユニットセル内で熱拡散しているSi(111)-(7x7)表面をつくり、Au原子を隣接する別のハーフユニットセルへ移動させる実験を室温環境で行った。導電性AFM探針をAu原子が存在しているハーフユニットセルに隣接する別のハーフユニットセル(ここにはAu原子が存在しない)に近づけると、Au原子がジャンプして移ることがわかった。このとき、(1)探針ー試料間に流れるトンネル電流だけでなくAu原子を経由するトンネル電流も存在すること、(2)ジャンプしてきたAu原子を経由して探針ー試料間に共有結合力が働くこと、Au原子は探針先端にその位置をトラップされていることがわかった。さらに、同様の実験をAg原子を用いて行った。同様の方法で1つのハーフユニットセルにAg原子を移動させていきAgクラスタを作成した。Agが12個のクラスタ(Ag12)をつくり実験を行った。Ag12からさらにAg原子やAg2を加えて大きいクラスタを作ることを試みたが、そのAg原子は周辺のハーフユニットセルを動きまわるだけでクラスタの中に入らないことがわかった。これはAg13やAg14が不安定であることを示唆している。クラスタの安定性実験をAuでも行った。Au11は隣接するハーフユニットセルにAu原子が1つあるとAu10に戻りやすく、Au10からAu2を加えてAu12が作れることも確認した。Au11はエネルギー的に準安定であると思われる。このように原子の種類によってクラスタの安定な個数がことなることを見出した。
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PHYSICAL REVIEW LETTERS
巻: 111 ページ: 106803-1/-5
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ACS NANO
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10.1021/nn403097p