研究課題
本年度は,1.入手可能な量子ドット(QD)の発光または吸収ピーク波長で共鳴を起こすスプリットリング共振器(SRR)の作製精度向上と,2.SRR近傍へのQD配置制御改善,3.両者の相互作用を明らかにするため光学的評価に取り組んだ.1.SRRの作製精度向上:誘電体微小球や誘電体ピラーをテンプレートとし,外径100nm程度の銀または金によるSRRをシリコン基板上の特定位置に配置する技術を確立した.これに加えて,SRRの共鳴波長をコントロールする手法の一つとして,スプリットリングのギャップを1つから2つ以上に増やす試みを行い,歩留まりは悪いがギャップが複数ある構造の作製に成功した.2.SRR近傍へのQD配置制御改善:多数のQDをその保護材と基板表面の化学的性質を利用しSRRへ誘導することが可能となった.しかし,少数のQDをスプリットリングの周囲の特定位置へ配置する技術は偶然に強く左右され,歩留まりが悪く改善の余地がある.QDの集団の配置に成功した電子ビーム露光やAFM探針による陽極酸化等を利用した手法でさらに改善を進める.3.光学的評価:多数のQDとSRRの光学的相互作用を発光や吸収スペクトルにて観測することは出来た.数個以下の量子ドットを用いた場合は,発光に対してはQDからの発光強度が現有の観測系の検出限界付近で観測が難しく,吸収に対してはQD由来とSRR由来の吸収(散乱)スペクトル構造との分離が困難である,の理由で未だ評価ができていない. その一方で,数値シミュレーションによる電磁気学的な相互作用の解析として,これまで得られた発光・吸収スペクトルとの比較検討は可能となっており,実験結果の解釈を進めている.
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Applied Physics. A, Materials Science & Processing
巻: 112 ページ: 613-619
10.1007/s00339-013-7774-4