研究課題/領域番号 |
24651132
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
田中 正俊 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (90130400)
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研究分担者 |
大野 真也 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究教員 (00377095)
関谷 隆夫 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (60211322)
島津 佳弘 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (70235612)
鈴木 隆則 防衛大学校, 応用物理学科, 教授 (60124369)
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キーワード | ナノ材料 / 層状物質 / 半導体物性 / 光物性 / 電子・電気材料 |
研究概要 |
本年度の研究計画に従って、下記の(1)-(3)を進めた。 (1) 結晶作成: WSe2,MoSe2,WS2の結晶作成に成功した.擬一次元性の強いZrS3やZrSe3についても微結晶が得られた. (2) ナノレイヤ層状半導体の物性研究: 層状半導体を機械的剥離法でへき開し,AFMで層数の決められた薄片についてラマンスペクトルから格子振動を,発光スペクトルから電子状態を特定した.4種類の遷移金属ダイカルコゲナイド(TX2)では,長距離のCoulomb力の遮蔽の相違により面内振動のE2g1モードがMoX2では低波数シフト,WX2では高波数シフトすること,1層から2層の間で直接半導体から間接半導体への転移することが示された.ZrS3やGaSeではバルクでは見られない数層特有の格子振動モードや発光帯が観測されたが,ZrSe3では観測されなかった.産総研,物材研の装置を用いて単層MoS2のFETを作製する技術は向上したが,電極でのショットキー障壁が未だに解消できず,キャリアの移動度を見積もるまでには至らなかった. (3) デバイス応用の可能性の検討: 以上の結果から,各々の層状半導体についてレイヤ毎の格子振動や電子物性について知見が得られ,層内相互作用と層間相互作用,或いはその競合関係が明らかとなった.しかしながら,GaSeやZrS3,ZrSe3では数層の大きな薄片を得るのは困難でデバイス作成が難しいことが分かった.また,最も薄片の得やすいMoS2でもOhmic接合のFET構造が得られず電気的特性を検討できなかったが,当初予想したようにMoSe2, WSe2が有力と考えられるので今後もFET作成を試みる.これらが達成できれば,本研究で得られた光学的性質と併せて,FET,発光素子,受光素子,太陽電池などの用途に応じて,どの層状半導体の,何層位のレイヤが適しているか候補を提案できると考えられる. 以上の成果については,ナノ学会,IVC-19,ACSIN-12,日本物理学会,応用物理学会で6件の発表を行い,論文を1編投稿準備中である.
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