脂質二重膜は、微小空間の区画化に非常に優れた素材の1つである。生体膜の基本構造も脂質二重膜である。本課題では、変形のし易さや、穿孔または破れの起き易さなど、その動態や安定性を直接観察し、結果を理論解析した。 観察の結果、脂質二重膜を構成するリン脂質に占める負電荷を持つ酸性リン脂質の含有比が、その膜の特性を大きく支配することが明らかになった。酸性リン脂質の比率が多くなる程、膜は変形し難くなる。一方、ペプチドや蛋白質などの生体因子との相互作用が強まり、その作用によって膜穿孔や溶解、あるいは突起形成の様な特定の変形が起こり易くなる。解析の結果、それらが静電気的相互作用で説明できることが分かった。
|