研究課題
今まで、ヒト多能性幹細胞の培養にはフィーダー細胞やMaterigelやLamininなどを基板として使われていることが一般的である。しかし、将来に臨床医療の応用に関して、動物由来の成分が混在していうことや、コストが高いことなどの問題が既存している。フィーダー細胞を使用せずに、安全性が高く、簡易に幹細胞ができる手法の開発が認められている。一方、現在の培養方法は全て二次元基板上で行われている。生体内で細胞が3次元微小環境の中で存在し、機能を活かしている。生体外でin vivoの3次元の環境を模倣し、細胞培養する手法が求められている。我々の研究グループではナノテクノロジーやマイクロエンジニアリングの技術を用いて、多能性幹細胞を制御することに着目している。特に、3次元構造を持つスカフォード用いて、ヒト多能性幹細胞の機能を向上させることを目指している。例え、ナノファイバーで構築した3次元スカフォードの上で、ヒト多能性幹細胞を長期培養することが成功した (L. Liu et al., Biomaterial, 2014)。本研究では、我々はマイクロエンジニアリング技術を駆使したオリジナルの3次元格子構造を作製することが目指していた。最適化した3次元格子を用いてヒトiPS細胞培養を試みた。その結果、細胞に強い生着性と非毒性であることがわかった。また、3次元格子を用いて、ヒトiPS細胞を継代する条件を見出した。さらに、3次元格子上で培養されていたヒトiPS細胞において、未分化マーカーが強く発現されたことが証明した。一方、同じ材料で構築した2次元基板の上で培養された細胞が分化したことが見られた。すなわち、3次元構造はヒトiPS細胞の未分化状態を維持には非常に重要な要素であることが明らかになった。将来、3次元格子が新規安全性が高い培養スカフォードとして、広く応用することが期待される。
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Biomaterial
巻: in press ページ: in press
DOI: 10.1016/j.biomaterials.2014.04.024
Microelectron. Eng.
巻: 110 ページ: 70, 74
10.1016/j.mee.2013.01.053