コヒーレント前方回折データとコヒーレントブラッグ回折データを組み合わせることによって原子分解能をを有するコヒーレントX線回折イメージングが原理的に可能である。平成25年度は、金ナノキューブ粒子の原子分解能コヒーレントX線回折イメージングに挑戦した。1辺の長さが約90nmの金ナノキューブ粒子をポリオール還元法によって作製した。そして、粒子を超純水中に分散させカーボン蒸着した窒化珪素膜上に滴下した。走査電子顕微鏡によって窒化珪素膜上の孤立粒子を決定し、シリコンフレームからの位置座標を測定顕微鏡によって決定した。コヒーレント回折パターンの測定は大型放射光施設SPring-8のBL29XULにて行った。シリコン二結晶分光器によって12keVに単色化した放射光X線を全反射集光鏡によって1umに集光し、試料に照射した。前方配置にてコヒーレントX線回折パターンの測定を行ったところ、1nmより優れた分解能で回折パターンを取得することに成功した。引き続き、ブラッグ配置で同一粒子からのコヒーレントX線回折パターンの測定を試みた。金ナノキューブ粒子の(200)面からのコヒーレント回折パターンを測定するために、ブラッグ条件を満足するように試料ステージの角度を調整した。しかしながら、前方配置で測定した孤立した金ナノキューブ粒子に、集光X線を照射することが極めて難しくブラッグコヒーレントX線回折パターンを測定することは出来なかった。今後、狙った孤立粒子のコヒーレントブラッグ回折パターンを如何にして測定するかを検討する必要がある。
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