研究課題/領域番号 |
24651139
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 敬治 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (10252628)
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キーワード | 1分子科学 / ロタキサン / キラリティー / クラウンエーテル |
研究概要 |
ロタキサンはその特異な構造ゆえに多大な関心が払われてきた物質群であるが、決定的な合成法が無い事、明確な用途を提示できるだけの物性探索ががされていない事、そしてロタキサンの激しい熱運動の明確な制御技術が無い事から開発途上の材料である。リング・ストッパー成分結合型プレロタキサンに対し、かさ高いアミンを作用させるというアイディアのロタキサン合成方法では、高いロタキサン選択性のみならず化学収率もほぼ定量的であることに加え、反応試薬や触媒が不要なので後処理も簡便となる斬新かつ実用的に有用なものである。ロタキサン化学で夢であったほぼ100%のロタキサン選択性でほぼ定量的に進行する合成法も見いだしている。本法の合成収率、操作、応用範囲の広さ等が明確になれば材料としてのロタキサンに対する見方を一新させ、応用分野の発展に大きく貢献すると期待できる。これまで、ロタキサン合成に適する環サイズの範囲を解明し、通常は合成が非常に困難とされている27員環のクラウンエーテルを輪分子とするロタキサンでも比較的効率的な合成ができることがわかった。また本反応の機構において、クラウンエーテルが遷移状態のエネルギーを下げるように働いていることがわかった。本反応において、速度論的に選択性およびロタキサンとダンベルの各々の収率を予知できることが確認できた。25年度は、申請時の計画通りに、ロタキサン固有の物性発現と解明に関してC∞v対称の軸分子とCs対称の環分子の組み合わせにより発現するロタキサンに特異なキラリティーにを有するロタキサン合成に関する研究をおこない、本キラリティーを有する光学活活性ロタキサンの両鏡像体の合成をおこない、各々の鏡像体を光学的に純粋な形で得ることが出来た。その量は、各々の鏡像体で数十mg得られており、各々の光学物性として明確な円二色性スペクトルをとるのに十分であった。絶対構造決定検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記載した計画のデータを取る事が出来ており、この種の光学活性物質の光学的に純粋な物質としては大量の合成を可能にしたこと、さらにこの量的優位性を活かして絶対構造の決定のための結晶化の検討も行えていることは当初の計画と比べると想定以上である。
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今後の研究の推進方策 |
ロタキサン固有のキラリティーを有するロタキサンの合成さらに行って、絶対構造の決定を行うと共に、申請時の計画に記入したように、このロタキサンに特異的な光学活性物質特有の物性探索を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験が予定よりも速く進展したので、合成試薬等の消耗品へ使う予定額を来年度に行う予定にしている成果発表の費用にまわすことにした。 来年度に行う予定にしている成果発表の費用にに充当する予定である。
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