我々は二端子間における多信号経路を持った確率共鳴素子を、カーボンナノチューブ(SWNT)を用いて作成し、集団的な信号透過による高効率な微弱信号受信装置の開発に取り組んだ。本研究では高い酸化還元性を備えた有機分子をSWNTに修飾させその効果を評価した。結果SWNTに修飾した分子へのチャージトラップの揺らぎがSWNTの電気伝導性を変化させ、二状態間の揺らぎ信号を観測した。本研究期間中にこれら独立雑音による確率共鳴効果の増大を示すことは出来なかったが、分子の一電子状態の揺らぎが雑音として現れることを示したことは、非常に科学的に重要な意義がある。
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