研究課題/領域番号 |
24651158
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高井 まどか 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40287975)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロファイバー / 血中循環がん細胞 / イムノアッセイ |
研究概要 |
近年、Point of care test (POCT)「患者の身辺での臨床検査」の必要性が叫ばれている。特に進行が早いがんの治療において迅速かつ正確な検査が、患者にも治療を行う医者にも重要になる。近年の研究により、Circulating Tumor Cells (CTC、血中循環がん細胞)の数が癌の進行と良い相関関係がある事が分かってきた。従来の診断方法であるCT画像とCTCの測定を併用することで、従来よりも高度な検査ができるようになり、それぞれの患者にあった癌治療を行えるようになると考えられる。現在、技術の進歩によって民間企業に依頼することでCTCの数の測定する事が可能になってきた。しかし測定結果が出るまでに数日以上かかり、一度の測定に何十万という費用がかかる為に医療機関での検査としては導入されていない。CTCを用いた診断が医療機関での検査に組み込まれる為には、今まで以上に迅速で簡便、低コストの測定方法の開発が必要となってくる。先行研究[1]に、マイクロポストを導入した基板にanti-EpCamの抗体を固定化し、細胞表面にEpCamを異常発現させているCTCを抗原抗体反応により補足、測定したというものがある。そこで本研究では先行研究と同様のシステムを、表面積をより大きく確保できるファイバーに導入し、吸引装置[2]を共に用いる事で、今まで以上に迅速で簡便な感度の高いCTC検知デバイスを創製する事を目的とする。今回の実験ではデバイスの基板となるファイバーの作製条件の検討、ブロッキング剤の選定、CTC補足のモデル実験としてファイバーを用いたイムノアッセイの感度測定をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞が通過する事が可能なポアサイズを有するマイクロファイバーが作製できた。ヒト全血を透過させた際にも構造の破壊が見られなかった。血液中の特異な細胞と取り出す基礎的なデバイス設計まで、現在までに達成した。
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今後の研究の推進方策 |
感度測定の実験では、吸引装置を用いることで抗原を反応させる作業が通常のプロトコルでは1時間以上かかるところを1分以内に短縮できた。誤差は大きいものの、抗原濃度が大きくなるにつれて得られた蛍光強度が大きくなっていることが確認できた。ファイバー上で抗原抗体反応が生じており、CTC補足の可能性を示唆できる。誤差が大きい原因を探求し、CTC補足を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
全血とマイクロファイバーが接触した際の適合性の評価が不十分であるため、こちらをまずは確認する。 そのご、全血からCTCのみを検出できるかを探る。
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