研究課題/領域番号 |
24651158
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高井 まどか 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40287975)
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キーワード | マイクロファイバー / 血中循環がん細胞 / イムノアッセイ |
研究概要 |
近年の研究によって、Circulating Tumor Cells (CTCs、血中循環がん細胞)の数が癌の進行と相関関係を持つ事が分かってきた。しかし、血中に存在するCTCの数が非常に少ない為、多量に存在する血中成分からこれを捕捉し、分離する技術の確立が必要になる。しかしCTCを用いた診断が医療機関での検査に組み込まれる事を考慮すると、サンプル量や迅速性という点においては未だ不十分であると考える。そこで本研究では表面積をより大きく確保できるマイクロファイバーに導入し、吸引装置を共に用いる事で、今まで以上に迅速で簡便な感度の高いCTC検知デバイスを創製する事を目的とした。今回の実験では基板に用いるファイバーの作製とその評価と、今後細胞実験に使用する細胞種の選定をおこなった。 細胞が通過する事が可能なポアサイズを有するマイクロファイバーが作製可能となった。ヤギ全血を透過させた際に構造破壊が起こらず、また溶血も確認できなかった。これらの結果から、この濃度によって作製された不織布が今後の実験で使用するのに適当と考えられる。感度測定の実験では、吸引装置を用いることで抗原を反応させる作業が通常のプロトコルでは1時間以上かかるところを1分以内に短縮できた。誤差は大きいものの、抗原濃度が大きくなるにつれて得られた蛍光強度が大きくなっていることが確認できた。この結果から、ファイバーと吸引装置を用いる事で比較的短い時間で抗原抗体反応を生じさせることができたと結論付けた。続いて、各細胞におけるEpCAMの発現量の評価であるが、HeLaの蛍光強度は蛍光で標識された抗体を入れていないものと差異がなく、HeLaにはEpCAMが発現していないもしくはほとんど発言していないものと考えられる。HeLaとMCF7の蛍光強度には大きな差異を確認できた。この事からMCF7はEpCAMが強く発現していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血中がん細胞のサンプルを調整するのに時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
血中がん細胞のサンプルが入手可能となったことからマイクロファイバーを用いて血液を用いた評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画どおりにシステム開発まではできたが、血中がん細胞の入手が困難であった。 血中がん細胞の入手が可能となったため、今年度は実サンプルを対象として実験を実施する。
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