研究課題
本研究では,動的な自己組織化としての“self-organization”,すなわち,非平衡環境下で,分子のスケール(ナノメートル)の反応から,マイクロ・ミ リメートルスケールのシステムまで階層的に結びつく非常に複雑な動的な自己組織化現象を利用した,新しいシステム構築を目指し,下記のような成果を上げた.(1)複雑形状マイクロゲル粒子生成手法の開発:従来の手法では,安定構造である単純な球形ゲルに限られていたが,本研究によって,球形に限らず,安定な構造に収束する前の非平衡構造を得ることができるようになった.具体的には,表面張力差に駆動される流れ(マランゴニ流)や物質濃度差に駆動される流れ(拡散流)による変形が収束する前のお椀状構造やエッジのついたタービン構造など複雑な形状を得ることに成功した.(2)複雑形状マイクロゲル粒子の自律運動:(1)の粒子は構造的な異方性・非対称性がある.この粒子の一部に,化学反応によって気泡を放出する仕組を導入し,方向性のある並進運動や回転運動ができるようなシステムを構築できた.(3)マイクロゲル粒子への機能性材料の内包:作製したゲル粒子に機能性のある材料を内包することにより,機能性のゲル粒子を作製する方法を確立した.ここでは,機能性材料の一例として,生細胞を利用した.生細胞のような比較的弱い材質でかつ貴重なサンプルであっても効率良く内包できることが確認できた.(4)らせん構造を有するマイクロゲルファイバーの生成:ゲル粒子だけでは複雑な3次元形状を作製することには限界がある.そこで,2重らせん構造を有するファイバー状のゲルを作製する手法を構築し,本技術をさらに発展させる基盤が確立できた.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
化学とマイクロ・ナノシステム
巻: vol. 13,no.1 ページ: 29-30
The 17th International Conference on Miniturized Systems for Chemistry and Life Sciences (microTAS2013)
巻: 1 ページ: 630-632
巻: 1 ページ: 314-316
電気学会研究会資料(バイオ・マイクロシステム研究会)
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http://www.lifephys.dis.titech.ac.jp/