研究課題/領域番号 |
24651163
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
笹川 清隆 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (50392725)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロセンサー / マイクロ光システム / イメージセンサー |
研究概要 |
本年度は,CMOS (Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)プロセスにおける金属配線層を用いたオンチップ光学素子の検討および試作を行った.厳密は結合解析法により画素上における光学素子のシミュレーションを行った.試作素子として,金属グレーティングによる偏光子および回折格子を検討した.シミュレーション結果に基づいて,偏光子搭載画素および画素構造を微細化したイメージセンサを設計した.2次元方向への微細化は困難であるため,画素アレイは1次元とし,1方向にのみ1 um以下の構造を持つ構成とした.画素の微細化により,画素間のクロストークが顕著となることが予測されるため光入射時にSiの表面付近において発生するフォトキャリアのみを検出し,深部で発生したものは,基板に流れるようなポテンシャル構造をとる画素を試作し,低クロストーク化を図った. 試作した偏光子搭載画素について,光学特性評価を行った.この画素は65nmプロセスによって作製されており,金属グレーティングのピッチは波長より十分小さくなっている.グレーティングに対して平行および垂直な偏光に対する感度を比較し,波長750nmにおいて19.7dBの消光比を得た.また,波長依存性の計測結果から,プロセスに起因する反射および金属配線による吸収のために,700-800nmにおいてのみ高い消光比が得られることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,光学シミュレーションを行い実際のセンサ試作を完了,一部の素子について目標としていた光学特性を得ることに成功している.今後,他の素子についても評価を行い,その結果を基に性能向上および集積回路の実現を目指す.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度での試作画素の評価結果を基に,フォトニックシステムオンチップ素子として,波長スペクトル計測チップを試作する.CMOSイメージセンサ技術,および,ナノフォトニクスを用いる利点の一つは,個々の素子を微小なスケールで実現できることにある.従来の光学システムでは,光学素子やステージの位置や角度などを可動式とすることで,測定条件を変えるものが殆どである.これに対して,提案手法では,「集積化」が可能である.条件の異なる測定系を多数配置することにより,並列計測による高機能化や高速化,高精度化を実現する. 微細光学素子を透過した光は,回折,干渉した後,画素アレイよって検出される.その干渉パタンは,入射角,および,波長によって異なる.検出された空間分布から入射光の情報を取得するため,演算処理を行う必要がある.シミュレーションおよび測定結果を用いて校正を行い,高精度なスペクトルおよび入射角の計測法を確立する. これらの研究を通じて,CMOS集積回路プロセスによるイメージセンサ画素上への微細光学素子統合および機能集積化の可能性を示し,小型かつ高機能な光学センサへの展開を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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