研究課題/領域番号 |
24651169
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
是津 信行 名古屋大学, グリーンモビリティ連携研究センター, 准教授 (10432519)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 量子ドット / ナノ粒子 / LED / 自己組織化 |
研究概要 |
1. 高輝度 深青色 発光性 CdS/ Cd1-xZnxS/ZnSの合成 CdSをコア,Cd1-xZnxSアロイ層表面に,あらたに極薄 ZnS シェル層で被覆した,コアシェルナノ粒子を合成した。カドミウムおよび亜鉛の前駆体に用いる配位子を,適切に組み合わせで,反応速度を制御できることがわかった。合成したナノ粒子は平均粒子径は5nmであり,トルエン溶液において80-85%以上の量子収率を得た。また,反応時間を制御するだけで,430, 450, 480nm付近にそれぞれ発光極大波長を有するナノ粒子を得た。 2.正孔輸送性層/電子輸送層界面への単層膜の作製 Glass/ITO/PEDOT-PSS薄膜の作製に成功した。独自に開発したブレードコータを用いることで,これを実現した。20-60nm範囲において,SEMレベルで均一な厚さをもつ超薄膜の形成が可能になった。当初予定したいた,CdS/Cd1-xZnxS/ZnSと正孔輸送性高分子材料からなるハイブリッド膜の成膜にはいたっておらず,25年度の課題とする。 3.ナノ粒子表面への正孔輸送性高分子単分子鎖のグラフト化 ナノ粒子表面へのリンカー機能を有するチオールブロックと正孔輸送性を有するチオフェンブロックコポリマーを合成した.正孔輸送層および電子輸送層界面におけるエネルギー障壁の勾配を緩やかにすることにより,発光層内における励起子の再結合効率の向上が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 高輝度 深青色 発光性 CdS/ Cd1-xZnxS/ZnSの合成 当初の計画とおりの成果が得られた。また,反応時間を変えるだけで,高い量子収率を維持したまま430, 450, 480nm付近にそれぞれ発光極大波長を有するナノ粒子を得た。今後,学会等で積極的に発表を進めていく。 2.正孔輸送性層/電子輸送層界面への単層膜の作製 当初想定したいよりも,高品位のGlass/ITO/PEDOT-PSS薄膜が得られた。一方,当初予定したいた,CdS/Cd1-xZnxS/ZnSと正孔輸送性高分子材料からなるハイブリッド膜の成膜にはいたらなかった。25年度の早期に,これを実現する。 3.ナノ粒子表面への正孔輸送性高分子単分子鎖のグラフト化 当初の予定通りの成果が得られた。コアシェル粒子へのグラフト化についても,おおむね順調な結果が得られている。今後は,ポリチオフェンのほかに,ポリビニルカルバゾールやポリフルオレンにも展開していく。
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今後の研究の推進方策 |
1. 深青色発光性 Q-LED 素子の作製と評価 自律型液体ナノプロセスを含む塗布プロセスと真空蒸着プロセスを組み合わせることにより、ITO/PEDOT-PSS/PVC/ Q-dot-PVC-SH monolayer/ TAZ/ Alq3/ LiF/ Al からなるQ-LED素子を作製する。研究期間内に7V程度の低電圧で駆動を達成する. 2. プラズモン増強型深青色発光性 Q-LED 素子の作製と評価 これまでに実績のある,プラズモン増強システムを本深青色発光性 Q-LED 素子に実装した,プラズモン増強型深青色発光性 Q-LED 素子の作製と評価をおこなう.深青色領域にプラズモン共鳴波長を有する金属粒子として,これまでに合成実績のある銀またはアルミニウムナノ粒子を用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
既存の真空プローバーを改良し,成膜チャンバーと一体化させた評価システムを構築する。これにより,大気に触れることなくQ-LED素子の発光特性を評価する. その他,ナノ粒子合成のための原料費,デバイス用のITO付基板購入費,さらに得られた成果を発表するための出張旅費に使用する予定である。
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