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これまで，本研究では，農業熟練者の勘や経験をファジィ数理最適化モデルに反映させるために，対象とする問題に含まれる係数や各種条件を経験的に同定する方法について検討し，ネットワーク計画の観点から多期間にわたる収穫量最大化を目的としたモデルの提案を行い，その一般化や効率的な最適解の導出方法について研究を進めた．
これらは単一作物の栽培を前提としているため，より現実的なモデルを目指すべく，最終年度には，複数作物の農地への作付け割り当てを議論するモデルの提案を行った．本モデルは，実際に栽培を行う農地の土壌条件が一様でないことに着目し，たとえ同じ作物であっても，作付けを行う物理的な位置によって作物の収穫量が異なるという仮定の下，単期間における最適な作付け割り当てを探るものである．
本研究の目的は，連作障害等の影響による収穫量の減少を経験的に判断する熟練者の意思決定をも再現できるよう，それらの知見を活用できる経営意思決定統合支援システムの構築を視野に入れ，多年度にわたる収穫量の最大化を目的とした数理最適化を議論し，新たな研究領域の開拓を行うことであったが，研究期間を通して得られた多期間モデルと単期間作付割当モデルに関する成果は，まさに多年度にわたる収穫量最大化の基本構成要素となるものである．したがって，当初の目的を達成することができたと考える．今後，これらの成果を組み合わせる研究を続けることにより，不確実・不確定性を考慮した農業経営支援システムを実現することができれば，学術的にも，産業的にも，またわが国の食料政策的にも非常に意義深いことであると思われる．
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