研究課題
本研究、安全な社会構築のための時間政策的な研究である。研究にはアンケート調査と画像と音の認知レベルの実験研究の研究をした。辻と作田はアンケート調査を分析し、松田はアンケート調査と実験研究の双方を使い分析した。辻の分析からは次のことは判明した。時鐘の3種類(寺の鐘、教会の鐘、カラクリ時計)の比較からみると、時鐘を現在聞くことのできる地域に住む人ほど、地域愛着度が高く、永住意識も高いこと、また、時鐘の中ではカラクリ時計の時鐘が高いことが分かった。寺と教会の時鐘はコミュニティ意識形成に関しては似た傾向を示し、カラクリ時計の時鐘機能が一番共同意識やコミュニティ意識の形成では影響力を持つことがわかった。作田の研究からは、時間意識と社会規範(非行観)については、共同性(鐘の音に関連する)に対する意識が高いほど、環境美化の公徳心は高いことが認められ、自然の時間をあまり重視していない人は環境美化の公徳心が低いことが明らかとなった。また規則正しい生活時間を重視する人ほど、性的な非行観および娯楽的な非行観においても高い傾向が認められた。松田の研究からも、時鐘施設の音環境のような,時を告げる音を活かすことにより,街などのコミュニティに対する帰属意識を高めることに応用できる可能性を示唆している。また,仰観景よりも俯瞰景の方が高い没入感を得られることから,俯瞰景は仰観景よりも街全体を見ることができ,街の多くの住民との共有感が得られたため,情景に対する没入感の上昇につながったと考えられる。よって,今後の課題としては,情景に映る人の数(音を共有する人の数)を操作して検討する必要がある。本研究の結果は将来的に,学校・企業などのコミュニティの仲間意識や帰属意識の向上を可能にする効果的な手法を生み出すことに貢献することが期待され,現代の喪失しつつある地域コミュニティの再構築にも役立つ可能性がある。
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