研究課題/領域番号 |
24651181
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
森川 展男 近畿大学, 社会学部, 教授 (00230102)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 虐待から犯罪 / 多機関横断チーム / 専門医師の通報義務 / 人間関係社会日本 / 歪んだ個人主義 / 地域社会との連携 / 虐待の世代間連鎖 |
研究概要 |
第1の研究成果は第1世代である親が第2世代である子への虐待が第2世代を犯罪へと駆り立てる過程を精査し、さらに第3世代へと犯罪の連鎖が必ずや及ぶ可能性が大であるとする仮説を実証する一歩を踏み出せた。具体的には、過去の判決内容を検証することから始めた。第2の成果は虐待先進国である米国での身体的虐待と自損事故による傷の違いを峻別する専門医がいる点、その専門医が各機関、とりわけ、虐待であると判別した際の警察機関への通報の義務について専門家を招聘し講演会を行った。米国には日本の児童相談所にあたるDepartment of Children and Family Services(DCFS)が警察と共に一般住民からの通報の窓口である。警察とDCFSとの連絡は密で、この関係をジョイントコンタクトと呼んでいる。日本にはこうした統括的専門機関がないことが虐待を深刻化させている。こうした警察とDCFSとの連携は密である。こうした専門家身体的虐待に対する(多分野(多機関)横断チーム) (MDT( Multidisciplinary Team ))は児童相談所(米国ではDCFS・医療機関・(法)医学者(小児科医)・警察・検察といった専門機関が機能的協力を行っている。日本では「我が家のしつけ」と言われてしまうため早期に虐待を予防ないし、虐待を阻止できることが出来なくさせている。今年度米国から招聘したキャロル・ジェニー博士(ブラウン大学医学部児童虐待医療センターのdirectorであり、世界的な身体的虐待を峻別する医師の養成も行っている専門家である。博士は各国でアドバイス・指導を行っており、日本でもこうした虐待専門医師の養成が急がれることが本講演を通じて痛感した。カウンセリング以前の問題でることを教えられた。また、専門医師の通報義務の厳格さについては日本はまだ後発であることが課題として出てきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度は24年度の研究計画としてあげた個々の虐待事件の検証が十分できていなかったことから、虐待事件だけでなく、虐待が世代間で連鎖し、さらに虐待から犯罪行為へと駆り立てている点をとらえ、いわゆる第2世代の犯罪の実証研究から始める。とりわけ日本経済のバブル期に青春時代を過ごし、その後のバブル崩壊によって、将来への希望を閉ざされた第2世代を中心に、虐待の世代間連鎖があるとの仮説の証明(実証)を行う。 25年度において、24年度から続いて、都道府県別府県別社会実体の諸々の統計データから2世代、3世代同居の割合、失業率、生活保護支給実態等についての分析を行い、さらに虐待相談件数、離婚率、共働き率をクロス分析していく。 同様のことを米国における幼児虐待(児童を含む)の統計データと都道府県別府県別社会実体の諸々の統計データとを照合することによって米国での虐待および虐待がもたらす犯罪への各地域、州、国の対策と効果について精査する。 また、日本国内から2名の専門家を招き、フォーラムを実施する。特に、24年度に行ったキャロル・ジェニー博士(医師)の提言にもあるように、いかにこどもが自ら受けた虐待に関しては口を閉ざしてしまうかについて、司法面接等を導入することも虐待の早期防止につながっていくこともフォーラムでの議論の一つと位置づける。 また、犯罪社会学、犯罪心理、メディア関係者に参加の呼びかけを行う。学術的研究と同時に一般市民への啓蒙活動の一助とする。こうした社会の問題は、一般社会へ還元させていくことが虐待の連鎖が生む犯罪の刑法学的予防促進につながっていくため、多くの人々へフォーラムへの参加を呼び掛ける。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は24年度にやれなかった個々の虐待事件の検証から始める。そこに虐待の世代間連鎖があるとの仮説の証明(実証)を行う。また、日本国内から2名の専門家を招き、フォーラムを実施する。特に、24年度に行ったキャロル・ジェニー博士(医師)の提言にもあるようにいかに、子どもが自ら受けた虐待に関しては口を閉ざしてしまうかについて、司法面接等を導入することも虐待の早期防止につながっていくこともフォーラムでの議論の一つと位置づける。 また、犯罪社会学、犯罪心理、メディア関係者に参加の呼びかけを行う。、学術的研究と同時に一般市民への啓蒙活動の一助とする。こうした社会の問題は、一般社会へ還元させていくことが虐待の連鎖が生む犯罪の刑法学的予防促進につながっていくため、多くの人々へフォーラムへの参加を呼び掛ける。 具体的には上記記載のごとく、虐待事件だけでなく、虐待が世代間で連鎖し、さらに虐待から犯罪行為へと駆り立てている点をとらえ、いわゆる第2世代の犯罪の実証研究から始める。とりわけ日本経済のバブル期に青春時代を過ごし、その後のバブル崩壊によって、将来への希望を閉ざされた第2世代を中心に、虐待の世代間連鎖があるとの仮説の証明(実証)を行う。 25年度において、24年度から続いて、都道府県別府県別社会実体の諸々の統計データから2世代、3世代同居の割合、失業率、生活保護支給実態等についての分析を行い、さらに虐待相談件数、離婚率、共働き率をクロス分析していく。同様のことを米国における幼児虐待(児童を含む)の統計データと都道府県別府県別社会実体の諸々の統計データとを照合することによって米国での虐待および虐待がもたらす犯罪への各地域、州、国の対策と効果について精査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
フォーラムのパネリスト3~4名への謝金および旅費。フォーラム実施に向けた広報への最低限の費用等に充当させる。
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