研究実績の概要 |
1. 緒言 全国の児童相談所に寄せられる児童虐待相談件数は増加の一途である。これを受け様々な対応・連携が模索されてきた。しかし現在の相談・対応後の連携ではデータが示すよう相談件数のみ増加し、具体的介入が追い付かず一向に改善の兆しが見られない。 仮に危険因子を事前に把握することができれば、事態の改善に向けた対策を施すことが可能である。2. 対象と方法 「核家族」と「子ども虐待死」の相関関係について、平成24年度の厚労省・国民生活基礎調査、平成16年度以降の警察庁・児童虐待及び福祉犯の検挙状況、平成15年度以降の厚労省「子ども虐待による死亡事例等の検証結果について(第1~9次報告)」などを分析し、子ども虐待死事例の検証を行った。3. 結果 虐待死事例の6割は3世代同居ではない1人親を含む「核家族」で、その4割が3歳未満(殊に0歳児)の死亡が多い事実が明らかになった。4. 考察 家庭を中心に支援が急がれる。この家庭は生活保護や市民税非課税措置の割合が高く、自治体も把握し易い状況である。また乳幼児健診未受診割合が次第に高くなる傾向から、上述の家庭は比較的把握し易い状況にあるため支援の方途が開かれやすい。本報告は、従来の日本型(「相談対応後型」、「虐待確認後連携型」)対応ではなく、アメリカの先行研究、Carol Jenny, MD, MBA, FAAP, Professor of Pediatrics, Warren Alpert Medical School of Brown University提唱の“The Nurse-Family Partnership Initiative”をベースにした日本版「チーム・ファミリー・パートナーシップ・プログラムを推進する。
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