研究課題
昨年度は,高負荷活動の一つである消防活動が,隊員の心肺機能あるいは体温上昇にどのような影響を与えるのかを検討するために,8階建訓練棟での消防訓練における消防隊員の活動記録をもとに,安定した条件下で再現性よくしかも各活動におけるデータ解析が可能な十分な時間間隔を有する活動項目で構成された消防活動モデルを作成した。今年度は現役の消防隊員18名(29~42歳)の協力のもと,高温多湿状況を再現した人工気候室内で,この消防活動モデルに沿った負荷活動を実施し,各隊員のRR間隔,外耳温度を連続測定した。また,唾液中のαアミラーゼ濃度,VAS値および血中乳酸値については,負荷活動前後で測定した。その結果,RR間隔データを周波数解析することで得られるパワースペクトル密度のスペクトル波形が負荷量によって変化することを確認した。さらに,消防活動のような高負荷活動状態下では,パワースペクトル密度をある周波数範囲に対してべき級数近似したときのべき数の値が,既に報告されている値よりも大きな値となること分かった。またこのパワースペクトル密度に呼吸反射の影響が及ばない低負荷活動下では,負荷量の変化に追随してべき数の値も変化することから,べき数の値を追跡することで,心肺への負荷状態を判定できることを示した。さらに,呼吸反射の影響が現れる高負荷状況下では,トータルパワーに対する呼吸反射が現れる周波数領域のパワーの比が,負荷程度と相関があることを示した。これらの情報と体温変化をもとに,疲労状態判定ロジックの基礎方針を決定した。しかし,今回の測定ではすべての被験者が途中中断することなく負荷活動を完遂したため,活動停止の閾値に係わる情報を得ることができなかった。この点につては測定方法の再検討から取り組むべき課題として残った。
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日本火災学会論文集
巻: 63 ページ: 9-16
Proceedings of 13th International Conference and Exhibition on Fire Science and Engineering (Interflam 2013)
巻: 1 ページ: 681-686
日本火災学会誌「火災」
巻: 63 ページ: 45-50