本研究の目的は、親の養育態度および安全意識と実際の事故発生の関係について、実証的に明らかにすることである。調査では、発達の初期段階であり、親の依存度が高い1~4歳児を対象に、養育態度と安全対策等の安全に係る意識・行動が子どもの事故やトラブル発生といかなる関係にあるのかを調査した。 調査用質問紙では、親の養育態度を捉えるため、養育や安全についての基本的態度、日頃の種々の安全対策の実施状況、種々の事故やヒヤリハットの経験回数などを問う項目で構成された。そして、大阪府のA幼稚園、三重県のB幼稚園の協力を得て、園児の保護者674名を対象に質問紙を配布した。そして2週間後に423の質問紙を回収した(回収率62.8%)。データはコンピュータに入力され、単純集計および統計的解析を実施した。 分析では、養育態度について「怪我許容傾向(子どもの怪我について許容的/否定的」、「遊び制限傾向(子どもの遊びや行動を制限すべき/すべきでない)」の2つの質問をもとに、①放任型態度(子どもの怪我に許容的で遊びや行動を制限しない)、②「現実容認型態度(怪我は許容するが遊びや行動も制限する)」、③「管理型態度(子どもが怪我をすることに抵抗感があり、遊びや行動を制限する)」の3つのタイプに分類された。これら態度と事故・ヒヤリ体験の関連を見ると、事故体験に有意傾向がみられたのみで、それ以外には有意差は見られなかった。また親の養育態度と日頃の安全対策についても特に関連は見られなかったが、これは多くの親が同程度の安全対策を日頃から実施している結果に起因すると解釈された。今後は今回の結果を踏まえて、さらに縦断的な研究を継続する必要があると考える。
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