研究課題/領域番号 |
24651201
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
金子 新 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10038101)
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研究分担者 |
李 漢洙 広島大学, 国際協力研究科, 助教 (10535082)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 津波 |
研究概要 |
東日本大震災で発生した大津波で見られるように、外洋で発生し、外洋を伝播する津波の波高はある程度正確に予測できるものの、内湾・内海に侵入する津波高さの予測はそれほど正確にはなされていない。このことは、気象庁による三陸海岸に侵入する津波の波高予測が5~6mであったのに対して、実際の津波は高さは20mを越えていたことでも理解できる。内湾・内海に侵入する津波は、海岸地形により大きく変形されるので、内湾・内海の入口で、通過する津波を計測することは、湾奥や内海の深部に侵入する津波高さと津波の到達時間を正確に予測するためにどうしても必要となる。 津波はいつ発生するか判らないので、津波と同様な海面重力波である潮汐波を利用して音響津波流速計を開発する。その一環として、研究室が世界に先駆けて開発した沿岸音響トモグラフィー装置を瀬戸内海の安芸灘に設置し、安芸灘を通過する潮汐波を連続計測している。瀬戸内海に侵入する津波も潮汐波と同様な海面重力波であるから、潮汐波の下の潮流(流速)変動を沿岸音響トモグラフィー装置で計測できれば、津波も同様に計測できることになる。現在、10分間隔で潮汐波を潮流変動として計測しているが、1分間隔で計測できることも確認しているので、実験海域を波速20m/sで通過する津波を十分にキャッチできる。長波理論を適用して潮流データから潮位変動を推定し、近くの海上保安庁の検潮所潮位データと比較したところ両者の位相は良く対応した。このことからも、沿岸音響トモグラフィーで計測した流速データから、津波の水位変動を計算できることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
瀬戸内海などの内海・内湾に侵入する津波を流速変動として計測する音響津波流速計の開発が目的である。しかし、津波はいつ発生するか判らないので、津波の代わりに同じような海面重力波である潮汐波を流速変動として計測することにより、音響津波流速計の開発を達成することを目指している。このような津波計測システムを、既に、2012年2月から瀬戸内海安芸灘に設置し、現在に至るまで潮汐波の連続計測に成功している。また、計測した流速データを長波理論を適用して水位変動に変換し、近くの海上保安庁の検潮所水位データと比較した場合、両者は、非常に良く対応することも確認した。この結果、音響津波流速計の開発には、成功したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に、音響津波流速計の開発に成功しているので、平成25年度(最終年度)は研究成果を、社会に発信することに努めたい。国内学会や国際会議での発表と研究成果報告書の作成・配布などを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度(最終年度)の研究費は、研究成果発表のための国内旅費、国外旅費および国際誌への論文投稿料に使用する。さらに、研究成果報告集の印刷費に使用する。
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