研究課題/領域番号 |
24651204
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 達也 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60359479)
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研究分担者 |
木村 一郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60225026)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 土砂災害 / 地盤工学 / 水工水理学 / 防災 / 積雪寒冷地 |
研究概要 |
1.凍結融解模型地盤の浸透侵食型崩壊実験方法の確立 (1)温度・サクション制御機能・流水機能を具備した1g場用二次元平面ひずみ模型土槽装置を改良し、模型地盤の凍結融解機構に加え、鉛直方向(凍上方向)と水平方向から模型地盤に浸透流を与える機構を具備した凍結融解型二次元浸透侵食模型実験装置を製作した。(2)開発した試験装置を用いて、砂及び砂・粘土の混合土の流水浸透侵食実験を実施し、同一試料の室内透水試験から得られた透水係数との比較により、試験装置の有用性や試験結果の妥当性・信頼性を確認した。(3)凍結融解地盤の浸透侵食挙動に及ぼす水流の影響を評価するために、アイスレンズ融解後の氷晶空洞の形状を模擬した人工的な凹みのある模型地盤を作製し、種々の試験条件(凹みの有無、土質、流水圧等)で浸透侵食実験を実施した。その結果、凹みの有無は模型地盤の透水性に影響するため、凹みを有した模型地盤では浸透流速が高まり浸透侵食が強まる傾向にあることを確認した。(4)以上の検討結果から、模型実験装置の性能評価を行うとともに、凍結融解型浸透侵食実験方法を確立した。 2.凍結融解地盤の浸透侵食・崩壊現象の数理モデル化方針の検討 (1)凍結融解・浸透侵食複合型崩壊現象を説明可能な数理モデルを新規開発するため、既往の文献調査を広く行い、現象の全体像の把握と多相体の複合現象から単相体の挙動を主体とした個別現象への分割、及び個別現象の単純化に関して検討した。(2)地盤表面侵食モデルを構築するため、上記項目1の実験条件について検討を行い、研究推進に有効な試験計画を立案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請時に記載した本年度の研究実施計画のうち、7割程度の研究項目について検討を行い、最終的な研究目標の達成に向けた有益な研究成果が得られているが、3割程度の研究項目の検討については、翌年度にずれ込んでしまう結果となったことから、「やや遅れている。」と自己評価した。研究の遅れの主因は、研究自体非常に新規性が高く、また複雑な現象の解明であることから、想定した以上に既往の文献など入手可能な関連情報が少なく、凍結融解地盤の浸透侵食・崩壊現象の数理モデル化に必要な実験データを基礎的な項目から自ら入手する必要が生じたためである。このため、研究実施の過程で研究計画を見直し、本年度は、数理モデルの構築に必要な基礎的な実験データの収集を優先することにした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、研究開発の効率性の観点から各研究者が個別に保有する研究開発力を総合して課題解決にあたっているが、研究目標達成には、実験・解析の両面から連携した検討を行う必要がある。このため、研究者間あるいは研究項目間の連携性の向上と研究内容の調整のため、情報交換と研究成果の共有などを目的とした研究の進捗状況報告会を、今年度同様、今後も四半期に1回程度開催しながら、本研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
交付申請時に記載した平成24年度の研究実施計画のうち、数理モデルの構築などの解析的検討の大半が平成25年度に持ち越しとなったことから、解析的検討に必要な研究費についても平成25年度に繰り越しとなった。当該研究費については、解析的検討に必要な「数値解析用計算機」等の必要機材の仕様が決まり次第、平成25年度に使用する計画である。
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