「台風はどこまで強くなり、想定される風水害はどの程度の規模なのか?」この問いに対して、様々な大気・海面水温の条件において発達する顕著な強度の台風を気象モデルによる物理ダウンスケール・シミュレーションにより再現し、顕著台風により想定される風水害を評価することを目的とした。本研究では気象モデルWeather Research and Forecasting (WRF)を用いた数値シミュレーションを行った。顕著な強度をもつ台風を気象モデルによる物理ダウンスケール・シミュレーションにより再現し、顕著台風により想定される風水害を評価することを目的として研究を進めた。台風の最大可能強度の数値シミュレーション、台風の移動の数値シミュレーション、台風経路を多数のパターンに変化させたシミュレーションを行った。東京を中心とした関東地方、名古屋を中心とした中部地方、大阪を中心とした近畿地方のそれぞれの地域において過去に顕著な災害をもたらした台風のうち多数のサンプルを例にとり、台風移動に伴う降水量・風速の空間分布と時間変化を各地域において1 kmメッシュで算出し、風水害に係わる気象統計情報を導出した。また、1958年以降の長期再解析値を利用し、伊勢湾台風など過去の顕著台風の再現数値シミュレーションを行い、地域規模での風水害情報を求めた。さらに、2013年11月にフィリピンで甚大な災害をもたらし最も発達したときの中心気圧が895 hPaの強度にまで達した台風30号の再現シミュレーションを実施し、風水害影響を行い、レイテ湾で発生した高潮への影響評価を行った。得られた研究成果は国内外の学会等で発表し、研究論文として発表した。
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