研究課題
本研究は、同時多発型・斜面崩壊危険箇所評価支援を目的として、リモートセンシングを導入した誘因広域逆推定アルゴリズムを構築し、その活用方法を示したものである。研究成果は以下の2つの項目に大別される。1)斜面崩壊形態別・誘因逆推定アルゴリズムの構築と誘因影響図の提案(平成24年度)初年度は、新潟県中越地震を誘因として発生した「表層崩壊、深層崩壊、地すべり」(旧山古志村)を対象として検討を進めた。検討内容は、以下の2点に要約できる。①誘因逆推定図間の一対比較方法の限界を指摘した上で、崩壊形態別に作成される誘因逆推定図を擬似カラー合成した「斜面崩壊形態別・誘因影響分析図」を提案した。②「相関色温度」を指標として導入し、カラー合成時の誘因逆推定図の組合せ事象を決定するとともに、斜面崩壊形態別・誘因影響分析図上の発色の違いに基づけば、複数の崩壊形態間の誘因影響を同時に分析でき、同時多発型・潜在危険斜面の広域推定支援に寄与できることを示した。2)源頭部斜面崩壊危険箇所評価支援を目的とした誘因逆推定アルゴリズムの構築(平成25年度)平成25年度は、局所的集中豪雨を誘因として発生した「源頭部斜面崩壊」(広島県庄原市)を対象として検討を進めた。検討内容は、以下の2点に要約できる。①「源頭部、斜面中腹部、崩壊土砂堆積域」といった3種類の領域を教師データとする考え方を提示した。教師データに対する的中率、モデル適合度検定、誘因逆推定図間の非類似性分析(数量化IV類)を通して、モデル成立上の必要条件が確認された。②さらに、教師データ別・誘因逆推定図間の違いを明確にするために「感度分析図」を作成した。この感度分析図を用いれば、「源頭部、斜面中腹部、崩壊土砂堆積域」といった土地性状の違いに伴う誘因影響の違いが明確となり、源頭部斜面崩壊に関わる誘因影響分析支援策の一つとして役立つことを示した。
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