研究課題/領域番号 |
24651211
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
加藤 明 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (40311336)
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研究分担者 |
竹井 祥郎 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10129249)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 比較ゲノム / 無胃魚 / 胃 / 胃酸 / 壁細胞 |
研究概要 |
現在公開されている7種の魚類ゲノムは無胃魚(トラフグ,ミドリフグ,ゼブラフィッシュ,メダカ)と有胃魚(トゲウオ,ティラピア,タラ)に分けることができる。無胃魚はH,K-ATPaseやペプシノーゲンなど胃の機能に関わる遺伝子を欠損しており,その中にはこれまで報告されていない新規の分子も含まれる。そこで我々は,無胃魚と有胃魚の比較ゲノム解析という新しい視点から,胃の機能を担う新規遺伝子の同定を試みた。 網羅的なテキスト解析により無胃魚(トラフグ,ミドリフグ,ゼブラフィッシュ,メダカ)で共通して欠損する遺伝子の候補を得た。Blastによるホモロジー解析及びシンテニー解析により候補遺伝子を一つ一つ慎重に解析した結果,無胃魚で共通して欠損する17遺伝子を特定した。この数は予想よりも少なく,無胃魚は胃で機能する遺伝子の多くを保持し,一部のみを欠損していることが明らかとなった。17遺伝子にはH,K-ATPaseやペプシノーゲンなど胃の機能を担う遺伝子が含まれる一方,胃の機能との関連が予想しにくい遺伝子も半数以上含まれていた。17遺伝子の組織分布をRT-PCRにより調べたところ,胃で特異的に発現する遺伝子は7遺伝子のみで,他の遺伝子は脳や卵巣を含む様々な臓器で発現が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
17遺伝子が無胃魚で共通して欠損していることを示す根拠となるデータは得られており,転写産物の組織分布もほぼ確定している。遺伝子産物の局在部位を細胞レベルで解析するために免疫組織化学による解析を行ったが,抗体の品質などの問題により確かな結果を得るまで時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
無胃魚で共通して欠損する17遺伝子のうち,新たな発見に結びつく期待の大きい遺伝子に焦点を絞り,免疫組織化学的な解析を進める。年度内に論文の完成を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
無胃魚で共通して欠損する遺伝子の遺伝子産物の局在部位を細胞レベルで明らかにするために,特異的抗体などを用いた組織化学的解析を行う。研究費は主に抗体の作製・購入や胃の組織化学的な解析試薬の購入に充てる。平成24年度に新規に作製した抗体の評価を慎重に行ったためにその次に計画した実験が遅れ,未使用額が793,498円発生した。平成25年度は今後の研究の推進方策基づき,以下の用途に用いる。(1)胃酸分泌細胞(壁細胞)マーカー抗体の購入:150,000円;(2)重要遺伝子の抗体作製費用:400,000円;(3)胃の組織上でのmRNA検出(in situ hybridization)のための試薬・消耗品:150,000円;(4)組織学・分子生物学に必要な一般試薬・消耗品:93,498円。
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