研究課題/領域番号 |
24651218
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
笹川 洋平 独立行政法人理化学研究所, 機能ゲノミクスユニット, 基礎科学特別研究員 (10404344)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 1細胞RNA-Seq / トランスクリプトーム / 次世代シーケンサー |
研究概要 |
本申請課題では、1細胞RNA-Seq法(SP1: Quartz-Seq)をベースに、定量性を更に向上させつつ、ハイスループット化した1細胞RNA-Seq法(SP2:仮称)を確立することを目的としている。完成を目指すSP2では、PCRとIVT: In vitro transcriptionを組み合わせることにより、増幅後の産物がaRNAとなる。これによりSP2ではハイスループット化のボトルネックになる超音波によるcDNAの断片化のステップを回避することで、ハイスループット化が容易になると期待される。これらに加えて、SP2ではSP1で失っていた転写方向の情報の検出が可能になると期待され、non-coding RNAの1細胞での検出に大きく貢献すると期待される。昨年度はSP2の基盤となる各パラメータの設定に成功した。昨年度設定した条件は3つほどあり、1つめは根本的な改善を図るため1細胞レベルのRNAからの逆転写効率の上昇する要因を3つ特定したこと。2つめはDirectional RNA-Seqを可能とするためのPCRとIVTを組み合わせる最適な条件を2つに絞り込むことに成功したこと。3つめはPCR&IVT増幅後得られるaRNAから、ハイスループット化のボトルネックであった超音波による断片化なしにシーケンスライブラリ作製方法できるようになったこと。またシーケンスライブラリ作製の効率化にも成功した。5-10 ng のcDNAから非増幅でシーケンスライブラリを作製することができる方法HALprepを作製した。通常の方法ではスタートマテリアルをシーケンスライブラリDNAに変換する効率が1 %程度だが、HALprepでは10 %程度の効率を持っていた。これらパラメータを組み合わせたSP2のプロトタイプはシーケンスによる検証を待つ段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題では、1細胞RNA-Seq法(SP1: Quartz-Seq)をベースに、定量性を更に向上させつつ、ハイスループット化した1細胞RNA-Seq法(SP2:仮称)を確立することを目的としている。平成24年度計画では、qPCRなどの方法を駆使して、基盤となるSP2のプロトタイプのために必要な増幅法のパラメータ設定を計画していた。平成24年度は、当初の計画通り増幅法の設定を終えた。またシーケンスライブラリ作製法の効率化にも成功し、SP2プロトタイプが完成した。全体としての達成度は約50%。平成24年度当初の計画としてはほぼ計画通りの達成度である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は2つのことを推進しようと考えている。一つは計画通り、PCR増幅とIVT増幅を併用するSP2プロトタイプをシーケンスによる検証をすすめ完成を目指すこと。もう一つは、平成24年9月に報告されたハイスループットな方法CEL-Seqで使用されている技術がSP2に応用できないか調べること。CEL-SeqはIVT 増幅のみを使用する1細胞RNA-Seq法で、一人の人が数百の1細胞を同時に扱える可能性をもった非常にスループット性能の高い方法である。一方で、SP1:Quartz-Seqの定量性能には程遠い。当初の計画にはなかったが、CEL-Seqのスループット性能を上昇させる工夫は非常に重要であるので、本申請課題で作製する方法に組み込めないか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
「該当なし」
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