研究課題/領域番号 |
24651220
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山田 思郎 群馬大学, 医学部, 助教 (90594193)
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研究分担者 |
小林 靖子 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60451720)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Alu |
研究概要 |
平成24年度は、活性型Alu検出のための基本的実験を行った。 まず、Aluサブクラスの選別のためのMACPCR法の基礎実験を行った。MACPCR法はPNAの競合により、目標以外のAluのPCR増幅を抑えるものである。「PNAによるPCR阻害」の基本的データを得た。 Aluのサブクラスは、わずか1塩基の違いで分類されるためこれを識別可能な塩基配列を決定した。進化学的に若いAluYa5に特異的な配列と、古いAlu(AluS, AluJ)に特異的な配列を認識できるPNAを購入した。また、上記PNAに相補となるAluYa5、AluS、AluYbの配列の一部をDNAで作成し、PNAとの結合温度の違いを検討し、PNA-DNAのMeltingTemperatureを求めるための解離曲線を作成した。 PNAとDNA断片との結合は、DNA二重鎖形成を認識するLCGreenとSyberGreenを用いて検討した。蛍光強度変化の検出のために、ABI7900を用いた。 この結果、DNA-DNAの相補鎖では解離曲線はシグモイドカーブを描き、この系がDNA結合の検出に使用可能であることを確認した。次に相補となるPNAとDNAでの解離曲線を作成した。しかし、PNA-DNAではDNA-DNAとは違い、検出される蛍光強度の変化は直線状であった。これは、PNA-DNAの結合が強く、DNA二重鎖が指数関数的に解離する温度に至っても、一斉に解離するものではない可能性が示唆された。もしくは、使用した蛍光色素が、PNA-DNAの相補鎖には十分取り込まれないため蛍光強度の変化が不十分な可能性が考えられた。以上の実験より、PNA-DNAの解離する温度の予測が難しいことが分かった。今後は、PCR反応液に直接PNAを混入し特定の配列に対してのクランピング効果があるか検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在行っているのは、PNAによるクランピング効果を確認する実験であり、特定のサブクラスのAluが検出できるかを検討する前の予備実験の段階である。 PNAによるクランピング効果が確認できないと細胞検体での特定のAluフラグメント回収に進むことができないため、現在基礎実験を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
基準となるAluサブクラス(AluS、AluY、AluYa5、AluYb)をクローニングし、プラスミドに組み込み、今後の実験の標準品とする。この基準Aluを増幅するPCRを行い、PNAの混在の有無でPCR阻害が起こせるかを検討する。これにより、PNAによる阻害の至適温度を確認する。 PNAによる阻害が確立すれば、Jurkat細胞ゲノムを用いてメチル化されたAluのフラグメントを収集する。このフラグメントの内で、進化的に若く、転移能力を持つAluYa5、AluYb8をさらに濃縮し、配列決定しゲノム上の位置を確定する。これにより、(転移)活性Aluのゲノム地図を作製する。 ヒト疾患検体の収集に関しては、当大学の倫理委員会の承認を得た。Jurkat細胞で確立した技術により、当該疾患における末梢白血球のAlu挿入変異の検出を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続きMACPCR法を確立し、メチル化されたAluYa5、AluYbを持つDNA断片をゲノムより回収する。まずは、Jurkat細胞ゲノムを用いて実験を行う。 Jurkatゲノムを物理的に断片化し、メチル化DNA結合蛋白を用いたカラムでメチル化のある断片のみを回収する。これら断片に対し、リンカーを結合する。リンカー配列とAlu特異的配列でPCRを行い、Aluを含む断片を増幅する。この時、前述のPNAを混在させ、目的以外のAlu(AluS、AluJ)が増幅しないようにする。得られた断片を、次世代シークエンサーにより配列決定を行う。 フラグメントのユニーク配列より、ゲノム上の位置を同定し、回収されたAluの座位を決定する。得られた大量のデータは、コンピューターを用いたバイオインフォマティクスにより解析する。 上記研究のために、メチル化DNA結合蛋白、カラム等の検査試薬を購入する。新たに、データ解析のためのコンピュータを購入する。
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