研究課題
挑戦的萌芽研究
遺伝性小頭症は、遺伝的異質性が特段に高いことが知られており、これまでに原因遺伝子として、NBS1、Rad50、Ligase4、ATR、MCPH1、ORC1、PCNT、ASPM、CENPJ、CDK5RAP2、STIL、CEP152、CEP63などが同定された。これらの研究から、遺伝性小頭症の患者は、出生前からのゲノム安定性機構の破綻により、器官形成期で神経幹細胞が十分増殖できず、そのために脳サイズが小さくなることが考えられた。私たちは最近、日本人10家系11例のサンプルを収集して、DNA修復経路上から原因遺伝子を探索し、2家系にDNA二重鎖切断修復遺伝子Mre11Aに変異を、2家系に中心体構成因子PCNT遺伝子に変異を同定した。いずれの患者細胞もDNA損傷後のアポトーシスが亢進しており、神経幹細胞の増殖不良にアポトーシスの関与が示唆された。一方、残り6家系にはDNA修復経路上の小頭症関連遺伝子に変異を認めず、新規の原因遺伝子が予想された。本研究では、日本人遺伝性小頭症の6家系について、次世代シーケンサーを用いた全エクソーム解析で原因遺伝子を同定して、病因と病態を解明することを目的としている。これまでに日本人遺伝性小頭症4家系について、次世代シーケンサーを用いた全エクソーム解析を行った。具体的には、Nimblegen社のExon captureを用いて、ゲノムDNAのエクソン配列に相当するDNA断片を濃縮し、Hiseq2000で塩基配列を決定した。現在、dbSNPを用いて候補SNPの絞り込みを行っている。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画案に沿って研究が順調に進行中である。
遺伝性小頭症6家系の原因遺伝子探索を継続する。それと同時に、人工ヌクレアーゼを用いたゲノム編集技術の開発を進める。これにより、遺伝性疾患の細胞モデルならびにマウスモデルを速やかに作成することが可能となる。
平成24年度未使用分を使用して残り2家系の次世代シーケンサによる解析を進める。また、平成25年度予算で高活性のTALEヌクレアーゼを作成して、高効率の遺伝子標的法を開発する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件)
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