研究課題/領域番号 |
24651223
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
桃井 隆 国際医療福祉大学, その他の研究科, 教授 (40143507)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生殖幹細胞 / 幹細胞バンク |
研究実績の概要 |
Spermatogonia(精祖細胞)を培地(GDNF, LIF, FGF, EGFを含む培地)で培養することが可能であり、多分化能をもつ生殖幹細胞を作製することが可能である。しかし精祖細胞や卵母細胞をヒトから分離することは倫理的に問題や組織適合性の拘束がさけられないことから、本研究では半数体の精子細胞を分離し、ヘテロ生殖幹細胞を作製することを目的とした。 1。その第一ステップとして 精祖細胞のセルソーターを用いて分離のためには、マーカーが必須であり、申請者が発見したシナプス接着蛋白Cadm1(RA175/SynCAM1)が、精巣では精祖細胞と一次精母細胞や精子細胞に局在して(Fujita et al., 2006)することから、Cadm1プロモーターに蛍光蛋白を発現させてTgマウスを作製した。 2.しかし、半数体の精子細胞を分離するには十分でないことから、精子細胞細胞のマーカ―を探索したところ、申請者が発見したRA70/Scap2がそのマーカーとして使えることが明らかにとなった。しかし、RA70/Scap2欠損マウスを作製したところ、欠損マウスは致死であった。解析したところ、RA70/Scap2遺伝子はレチノイン酸に誘導され、RA70/Scap2はインテグリンの生存シグナルとして組織形成に関与していることが明らかにとなった。 3.減数分裂後の2次精母(卵母)細胞をホモ接合し、安定したホモ接合精祖細胞を効率よく分離維持できれば、ホモ接合生殖幹細胞の作製が可能である。しかし、2次精母(卵母)細胞のマーカ―が必要であり、特異的なマーカーを用いてセルソーターにより分離することが必要である。探索したところ、申請者が発見したRA70/Scap2がそのマーカーとして使えることが明らかにとなり、特異抗体を作成し、解析をおこなった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
胎児E8.5-12.5では神経管(Tanabe et al., Neuroscience Letter 2014)に、また生後は精巣の精子細胞に特異的な染色像がみられた。RA70/Scap2がそのマーカーとして使えることが明らかにとなったことから、セルソータを用いて、減数分裂後の2次精母(卵母)細胞を分離し、安定したホモ接合精祖細胞を融合によって作成する必要があり、その条件検討をおこなった。精粗細胞の作製はCadm1-mcherry(赤)を指標とし、精粗細胞からの生殖幹細胞の作製の試みは、Oct4-GFPを指標としておこなった。 1.セルソータの故障もあり、条件設定が遅れている。 2.また、STAP細胞の作製が報告されたことから、容易に生殖幹細胞が作製できると考え、生殖細胞からのSTAP細胞の作製を試みた結果、再現性が十分えられず、また結果としてSTAP細胞の論文が削除され、時間を浪費することになった。
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今後の研究の推進方策 |
セルソータの修理を迅速におこない、融合細胞から安定したホモ接合精巣細胞の分離を可能にする条件を確立したい。 またRA70/SCAP2、RA70/SCAP2の生殖細胞の局在をより詳細に検討して、融合精粗細胞からの精巣細胞への分化を特異抗体を用いて明らかにすることで、生殖幹細胞の作成を明らかにする。 生殖幹細胞を免疫不全マウス(ヌードマウス)の精巣に移植し、テラトーマ形成と多分化能についての解析を行う。 これらの成果を踏まえ、国際学会に発表、論文として作成する方向で進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に作製した生殖幹細胞を免疫不全マウス(ヌードマウス)の精巣に移植し、テラトーマ形成と多分化能についての解析を行い、国際StemCellシンポジューム、日本分子生物学会にて発表を予定していた。しかしながら、研究遂行過程でのセルソータの不具合やマウスの解析にあたり、非SPFマウスについてクリーニング委託後の解析が必要となった。本年度期限に間に合わないことから、来年度への繰り越したい。
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次年度使用額の使用計画 |
ヌードマウスを用いたテラトーマ形成の解析と国際StemCellシンポジュームでの発表を計画している。
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