研究実績の概要 |
(C) (1-2) 平成24年度・25年度に引き続き、50個から200個程度のアミノ酸から構成されるタンパク質の立体構造を扱う方法を考察している。具体的には、各アミノ酸を頂点とし、主鎖として隣り合っているアミノ酸同士、および水素結合で結ばれているアミノ酸同士を辺で結んだグラフを考える。それぞれの辺の上には、2つの頂点に対応するアミノ酸同士の向きが、相対的にどれだけ回転した位置になっているかを表す、3行3列の特殊直交行列を書き込む。こうすることにより、タンパク質の複雑な立体構造が、アミノ酸の数(50個から200個程度)とほぼ同程度の個数の3×3行列とグラフだけでほぼ表せることになる。 それらの考察に基づき、東京大学の大学生向けに以下の授業を行った。[a]平成26年6月9日・16日 全学自由ゼミナール 教養学部1・2年生向け, [b]平成26年6月24日・7月1日 現象数理II 理学部3・4年生および院生向け; これらの授業では、3行3列の特殊直交行列たちのなす群SO(3)の性質と、それを用いてタンパク質の立体構造をモデリングすることにより、立体構造がとても簡潔に書き表されることを説明した。 (4-5) 平成25年度に発表したカントール集合についての補題を用いた松元重則との共著論文を、平成26年8月にソウル(韓国)で開催された国際数学者会議において発表した。この発表で行った補題の証明は、元の論文のものよりも簡明になっている。 (6-8) クロマチンに関しては、ChIP-seqのデータの扱いについて特に目立った数学的な進歩を与えることが出来なかった。
|