研究課題/領域番号 |
24651229
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 秀雄 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (50183950)
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研究分担者 |
瀬尾 茂人 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (30432462)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生体イメージング / モデル化とシミュレーション / 細胞トラッキング |
研究概要 |
平成24年度は、以下の研究を実施した。 (1)時間フレームでの経時観測蛍光画像中で画像処理により細胞の領域を検出することで、4Dイメージングデータからの細胞のトラッキングを行った。3次元画像が時間フレームごとに取られる4Dイメージングデータからの経時観測画像から、セグメンテーションにより細胞領域を検出する手法をいくつか考案し、それぞれのセグメンテーション結果をもとに細胞のトラッキングによる動きの検出を行った。細胞のトラッキングに先立って、セグメンテーションを精度よく行うことで、3次元画像中での細胞の動きの検出精度を向上させることができた。さらに細胞のトラッキングの結果から、細胞の移動方向、速度、加速度等のパラメータを取得しつつあり、これらのパラメータと細胞の周囲の状況とを比較・照合することで、細胞内部での状態を推定するための手法を開発中である。 (2)細胞の経時的な動きをとらえるためのの数理モデルの構築を行った。具体的には、細胞の状態に応じて蛍光の変わる多色蛍光マーカーを利用して、細胞周期の可視化を行ったイメージングデータから細胞核の自動検出と追跡を、混合正規分布モデルにより行う手法を開発した。これにより、検出精度が向上し、より多様な条件下での検出が行えるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)の細胞のトラッキングによる動きの検出については、当初想定していたよりも、細胞の形状や動きの変化が多様かつ複雑で、単純にトラッキングをしても、周囲の細胞と重なるなどして動きをご検出するケースがあった。そこで、画像のセグメンテーションによる細胞領域の検出を精度よく行う手法について検討し、その結果をもとにトラッキングを行うことで、ほぼ当初の計画通りの動きの検出が達成できた。 (2)の数理モデル化については、当初の計画にはなかった細胞状態ごとに蛍光の変わる、多色蛍光マーカーが使えるようになり、細胞周期の可視化を行ったイメージングデータからの細胞核の自動検出と追跡を、混合正規分布モデルにより行うなど、当初想定していなかった新たな展開となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の各項目の研究を実施する。 (3)4Dイメージングデータからの細胞の動きについての数理モデルの詳細化を行う。具体的には、平成24年度に開発した混合正規分布モデルに基づく細胞周期の可視化を行ったイメージングデータからの細胞核の自動検出と追跡の手法をさらに発展させ、細胞周期など細胞の状態ごとに、細胞の運動とそのトラッキングや、さらには細胞の動特性のパラメータ取得を試みる。これにより、数理モデルのさらなる詳細化を実施する。 (4)生体環境の動的解析として、多様な生体環境下で、多色蛍光マーカー等を用いた4Dイメージングでの細胞動態を計測し、イメージングの視点でみた生体細胞動態のデータベースを構築する。そして、これらのデータを(3)の数理モデルに当てはめて、その時の生体環境や細胞の状態を推定する。これは、細胞遊走モデルの逆問題を解くことになり、解析的に解くのは困難であるため、あらかじめ、多様な環境下での細胞の4Dイメージングデータを計測し、それぞれの条件での細胞動態のパラメータを求めておき、個々の環境下での細胞動態をデータ同化の手法を使って数理モデルの当てはめを行うことで、環境中の物質濃度等を推定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
多様な環境条件下での多色蛍光マーカーでの細胞領域の認識と細胞のトラッキングを行うため、高いディスプレイ表示解像度と、高性能なグラフィックプロセッサに、大容量のディスクを備えた高機能パソコンの購入を予定している。 また、多様な環境条件下での細胞の応答をデータベース化するため、生体イメージング研究コミュニティの研究者から多様な専門知識の提供や情報の収集を行うため、旅費や謝金が必要である。 その他、生体イメージングデータのデータベース化に向けての整備を行うため、研究補助のアルバイトの人件費が必要である。
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