研究課題/領域番号 |
24651229
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 秀雄 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (50183950)
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研究分担者 |
瀬尾 茂人 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (30432462)
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キーワード | バイオイメージインフォマティクス / 細胞遊走 / 蛍光イメージング / 数理モデル / 細胞トラッキング |
研究概要 |
(1)破骨前駆細胞の細胞遊走の数理モデルの詳細化を行った。具体的には、破骨前駆細胞のS1P濃度勾配を変化させたときの細胞のトラッキングを、Global Data Associationという新たな手法を導入した一連のパイプラインにより自動化することで、低コントラスト、不定形、隣接・結合が存在するなどで自動追跡が困難であった大量の破骨前駆細胞の動きを高精度でトラッキングできるようにした。これにより、詳細な数理モデルの比較・検討が可能になり、S1P濃度勾配を変化させた時の遊走速度を導出する数理モデルを構築できた。この成果をシンポジウムにて発表した。 (2)多色の蛍光タンパク質を用いて細胞周期の経時観測イメージングデータから、細胞核の自動検出と追跡を行うために、混合正規分布モデルとEMアルゴリズムを用いた新たな方法を提案した。この手法ではブートストラップサンプリングとハンガリー法による最適割り当てにより、ノイズの影響を軽減し、細胞核が大きく移動したときや、細胞が密集した状況下でも、細胞の動きに追従して高い精度でトラッキングできる。この成果をまとめた論文は、学術論文誌に採択されるともに、学会から研究賞を授与されるなど高い評価を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた細胞のトラッキング手法の高精度化と細胞遊走の数理モデル構築は順調に進展し、研究発表を行った。しかし、生体内の細胞画像を測定する装置が故障したため、生体内の動的計測とそれによる数理モデルの検証はそれまでに測定した画像のみで行った。測定装置は修理されたため、次年度に期間を延長し、さらに多くの細胞画像を測定して数理モデルにあてはめることで、数理モデルの検証と高精度化を推進する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
細胞画像の測定装置からさらに追加で画像を測定し、それを数理モデルにあてはめることで、生体内の動的計測と数理モデルの検証とさらなる高精度化を実施する。また、蛍光イメージングに加えて、微分干渉画像のデータも取得し、複数種類の画像データを使うことで、細胞の検出や動きのトラッキングの精度を高める手法を開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に、破骨前駆細胞の移動速度を計測し、破骨前駆細胞の細胞遊走の数理モデルにあてはめることで、生体環境の動的計測による数理モデルの検証を実施する予定であったが、生体内の細胞画像を測定する装置が故障したため、計画を変更し細胞遊走の数理モデルの詳細化を行うこととした。このため、生体環境の動的計測と数理モデルへのあてはめ、それらについての研究成果報告を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとした。 細胞画像の測定装置は修理済みであり、そこから得られた大量の画像を解析して平成25年度に作成した数理モデルにあてはめることで生体環境の動的計測を行うための高性能パソコンの備品費、画像保存のためのメディアや画像解析のためのツールソフトウェア等の消耗品、研究成果発表のための出張旅費、会議参加費、論文投稿料に使用する。
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