本研究はこれまでに達成されていなかった天然物エキスのアレイ化を達成し,標的タンパク質との結合をアレイ上で検出することで,生物活性天然物を迅速に発見する方法論の確立を目指す.天然物をそのままの構造の状態でアレイ化した非破壊天然物二次元アレイのプラットフォームを開発することを目標としている. 本年度はエキスアレイに適する材料(膜媒体)と,エキスに含まれる多くの天然物の分離条件の検討を引き続き行った.タンパク質はヒトビタミンD3核内受容体を用い,その生体内リガンドである活性型ビタミンD3をポジティブコントロールとして検討を行った.化合物を膜媒体に留まらせるため,膜の性状を実験中に維持できる方法を検討し,主に膜が有機溶媒により乾燥しないための前処理などの操作をほどこした.また,非特異的なタンパク質の吸着を防ぐため,ブロッキング剤や条件の検討を行った.さらにタンパク質を検出するための一次抗体の抗原部分の選択が重要であることが明らかになった.
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