多角体ウィルスの感染によって昆虫細胞内で産生される多角体蛋白質は同時に産生されるウィルスを内包しながら細胞内で結晶化し、ウィルスの長期保存のための鎧の役割を果たす。ウィルスの取り込みや結晶化機構を理解することによって、ウィルス以外の蛋白質や化合物を内包する新しい蛋白質結晶材料の創成を目指し、細胞内結晶化機構の解明を行った。細胞質多角体病ウィルスに感染した蚕の中腸細胞の電子顕微鏡観察から、多角体蛋白質は特異な集積構造を経て結晶化する事が明らかとなった。また、原子間力顕微鏡による細胞外での結晶化追跡から、その集積構造は細胞内のカリウム濃度やpHと密接に関わっていることが明らかとなった。
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