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2012 年度 実施状況報告書

フシコプラジン類生合成に関する網羅的遺伝子解析と効率的物質生産システムの確立

研究課題

研究課題/領域番号 24651247
研究機関徳島文理大学

研究代表者

兼目 裕充  徳島文理大学, 薬学部, 助教 (10399438)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードジテルペノイド / 生合成 / 苔類 / ゼニゴケ / 14-3-3タンパク / 次世代シーケンサー
研究概要

申請者らが苔類コハネゴケより見いだした新規フシコプラジン類は、真核生物に普遍的に存在する14-3-3タンパクとシグナル伝達系タンパクとの会合を制御することで動植物に対して様々な活性を示すフシコクシン/コチレニン類と類似した母骨格構造を持つ。フシコプラジン類の置換基が従来の構造活性相関と相反するにも関わらず強い動物細胞分化誘導活性等を有することから、フシコプラジン類はフシコクシン/コチレニン類の作用機序の解明や構造活性相関に新たに重要な視点を与える化合物と言える。しかし、コハネゴケは成長が遅く、フシコプラジン類の蓄積は微量であり、生産性のケモタイプが3種存在して採取も難しいことから、安定した供給方法の構築が急務である。本研究はフシコプラジン類の生合成に関わる酵素遺伝子群を網羅的に明らかにすると共に、モデル苔類のゼニゴケにおいて生合成経路の再構築にこれらの酵素遺伝子群を用いることにより、フシコプラジン類の効率的生産システムを確立することを目的とする。
当年度は次世代シーケンサーを用いて、新鮮なコハネゴケのケモタイプA~Cを材料としたmRNA配列解析を行うと共に、得られるcDNA断片配列のアセンブルとアノテーションおよび生合成酵素遺伝子候補の絞り込みを計画した。所定のサンプル調製を行い、illumina GAIIxによる配列取得とアダプター配列などの削除を行った。100bp cDNA断片配列は各種アセンブルソフトウエアを用いて二次アセンブルまで行い、それぞれのケモタイプごとにスーパーコンティグを作成した。得られたスーパーコンティグはLocal BLASTによってアノテーションを行い、テルペン環化酵素遺伝子、P450酵素遺伝子、アセチル基転移酵素遺伝子等の遺伝子配列候補を抽出できた。これらについて進化系統樹解析および発現量解析により候補遺伝子の絞り込みを検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当年度は次世代シーケンサーを用いて、コハネゴケのケモタイプA~Cを材料としたmRNA配列解析を行うと共に、得られるcDNA断片配列のアセンブルを計画していたが、次世代シーケンサー付属のサンプル調製機器およびシーケンスデータ取り込みとアセンブルに用いるコンピューターサーバーの相次ぐ故障により、予定していた研究計画からはやや遅れる結果となった。予定していたLocal BLASTによるアノテーションと各遺伝子候補の絞り込みまでは実施できたが、炭素骨格の形成を担う重要なテルペン環化酵素等の機能解析を開始するには至っていない。現在のところケモタイプCから得られたテルペン環化酵素遺伝子断片配列等についてRACE実験を行い、全長配列を確定しているところである。一方、部位特異的導入効率を高めることのできる形質転換ゼニゴケの作出については、作出に必要なプラスミドコンストラクトの作成を前倒しで着手した。

今後の研究の推進方策

ケモタイプCからはテルペン環化酵素遺伝子断片をはじめ幾つかの生合成酵素遺伝子候補が得られたが、ケモタイプAに関しては満足なテルペン環化酵素遺伝子断片が得られなかったことから、精製方法を変えてポリアデニル鎖を持たないmRNAのシーケンスも実施する予定である。また、前年度から引き続き候補酵素遺伝子群の全長配列を決定して行くと共に機能解析を行う。全長配列がすでに得られた候補遺伝子については従来の大腸菌や酵母を用いた機能解析を進めるとともに、部位特異的導入効率を高めることのできる形質転換ゼニゴケの作出とこれを利用したコハネゴケ由来フシコプラジン類生合成酵素遺伝子群の機能解析を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

次世代シーケンサー付属のサンプル調製機器およびシーケンスデータ取り込みとアセンブルに用いるコンピューターサーバーの相次ぐ故障により、予定していた研究計画からはやや遅れる結果となった。次年度に持ち越して使用する予定の研究費については、候補酵素遺伝子群の全長配列決定及び機能解析とケモタイプAからの新たなサンプル調製に用いる予定である。これらの研究計画を遂行する上で、確立されている方法を用いるため、特段の課題等は想定されないが、計画を遂行するため、次年度に予定していた部位特異的導入効率を高めることのできる形質転換ゼニゴケの作出は前倒しで実施するなどの対策を講じた。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Activity-guided isolation of cytotoxic bis-bibenzyl constituents from Dumortiera hirsuta.2013

    • 著者名/発表者名
      Toyota, M., Ikeda, R., Kenmoku, H., Asakawa Y.
    • 雑誌名

      J Oleo Sci.

      巻: 62 ページ: 105-108

    • DOI

      10.5650/jos.62.105

    • 査読あり
  • [雑誌論文] De Novo Sequencing and Transcriptome Analysis of the Central Nervous System of Mollusc Lymnaea stagnalis by Deep RNA Sequencing.2012

    • 著者名/発表者名
      Sadamoto, H., Takahashi H., Okada, T., Kenmoku, H., Toyota, M., Asakawa Y
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7 ページ: e42546

    • DOI

      _10.1371/journal.pone.0042546

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Porphyrins from a metagenomic library of the marine sponge, Discodermia calyx2012

    • 著者名/発表者名
      He, R., Wakimoto, T., Takeshige, Y., Egami, Y., Kenmoku, H., Ito, T., Wang, B., Asakawa, Y., Abe, I
    • 雑誌名

      Molecular BioSystems

      巻: 8 ページ: 2334-2338

    • DOI

      _10.1039/C2MB25169H

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Heterologously expressed b-hydroxyl fatty acids from a metagenomic library of a marine sponge2012

    • 著者名/発表者名
      Rui, H., Wakimoto, T., Egami, Y., Kenmoku, H., Ito, T., Asakawa, Y., Abe, I
    • 雑誌名

      Bioorgan. Med. Chem Lett

      巻: 22 ページ: 7322-7325

    • DOI

      _doi: 10.1016/j.bmcl.2012.10.082. Epub 2012 Oct 23

    • 査読あり
  • [学会発表] 真菌類における分生胞子形成誘導因子の生合成および生合成中間体の生物活性2013

    • 著者名/発表者名
      兼目裕充,大久保翔,白木ひとみ,豊田正夫,浅川義範
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20130327-20130330
  • [学会発表] ヤマブシタケ由来エリナシン生合成酵素遺伝子群の網羅的同定解析2013

    • 著者名/発表者名
      兼目裕充,曽我達也, 鴫原隆,木村榮一,佐々武史,高橋宏暢,野路征昭,豊田正夫,浅川義範
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20130327-20130330
  • [学会発表] 14-3-3タンパク制御物質の探索2013

    • 著者名/発表者名
      大櫛恵,兼目裕充,竹上沙也加,多田博幸,佐々武史,豊田正夫,浅川義範
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20130327-20130330
  • [学会発表] ミシマサイコにおけるサイコサポニン生合成機構の解明2013

    • 著者名/発表者名
      野路征昭,星野佑弥,木岡優里子,兼目裕充,岡田岳人,高橋宏暢,関田節子,豊田正夫,浅川義範
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20130327-20130330
  • [学会発表] ゼニゴケ油体構成テルペノイドの生合成に関わる酵素遺伝子の同定と機能解析2012

    • 著者名/発表者名
      兼目裕充, 森本樹奈, 高橋宏暢, 江角朋之, 野路征昭, 豊田正夫, 三沢典彦, 浅川義範
    • 学会等名
      第56回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      20121027-20121029

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公開日: 2014-07-24  

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