研究課題
申請者らが苔類コハネゴケより見いだしたフシコッカンジテルペノイド類は、強い動物細胞分化誘導活性等を有することから、フシコクシン/コチレニン類の作用機序の解明や構造活性相関に新たに重要な視点を与える化合物と言える。しかし、コハネゴケは成長が遅く、蓄積は微量であり、生産性のケモタイプが3種存在して採取も難しいことから、安定した供給方法の構築が急務である。本研究はコハネゴケが蓄積するフシコッカンジテルペノイド類の生合成に関わる酵素遺伝子群を網羅的に明らかにすることを目的としている。前年度はケモタイプCからはテルペン環化酵素遺伝子断片をはじめ、P450酵素遺伝子、アセチル基転移酵素遺伝子等の生合成酵素遺伝子候補が得られたが、ケモタイプAに関しては満足なテルペン環化酵素遺伝子断片が得られなかったことから、今年度はポリアデニル鎖を持たないmRNAを得て、次世代シーケンサーによるシーケンスを実施した。ケモタイプBに関しては当初はフシコカンジテルペノイドが見出されていなかったが、ケモタイプCのテルペン環化酵素遺伝子候補とよく類似した遺伝子が得られたため、改めてフシコッカンジテルペノイドの精査を行ったところ、ケモタイプB独自の微量新規フシコッカンを得ることができた。また、前年度から引き続きテルペン環化酵素酵素遺伝子の全長配列を決定し、大腸菌内で環化産物を蓄積する発現系を用いて機能解析を行った。セスキテルペン炭化水素を環化産物とする酵素遺伝子は得ることができたが、環化産物の得られない環化酵素遺伝子候補がそれぞれのケモタイプにあったことから、これらがフシコッカン骨格を構築する酵素遺伝子と推察された。現在、それぞれのレアコドンを改変した遺伝子配列を構築して機能解析を進めているところである。
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Natural Product Communications
巻: 9 ページ: 351-354
巻: 9 ページ: 印刷中