本研究では、メタン生成アーキアのメタン合成遺伝子を産業利用が容易な微生物の染色体にインテグレートすることで、難培養性であるメタン生成アーキアよりも容易にメタンガスを生合成する事を意図した。 現在判明しているメタン生合成関連遺伝子約200種類のうち、KEGG pathwayからメタン生合成に直接関連する遺伝子104種類を選別した。各遺伝子はM.jannaschiiの染色体からPCRで増幅し、S.cerevisiaeのアルコール脱水素酵素遺伝子ADH1プロモーターの下流に遺伝子工学的に接続し、単コピー型プラスミドYCpURAに挿入して宿主内での発現が可能か否かを確認した。確認には各遺伝子のC末端に付加したFLAG-tagを用いたウエスタンブロッドで行った。結果、59遺伝子が可溶性に発現し、37遺伝子が不溶性に発現、11遺伝子は発現が認められなかった。 プラスミドによって安定発現が確認された遺伝子のうち、全ての関連遺伝子が揃っているメタン合成系のステップはCoenzymeF420のみであった為、この関連遺伝子5つをプロモーターと共に宿主の染色体のトランスポゾン領域にインテグレートしてタンパク質が発現されるかを検討した結果、発現が確認出来なかった。 今後、S.cerevisiaeの欠損可能な遺伝子座に遺伝子置換する方法で、発現が可能か検討を続行する予定である。
|