我々は生体の低酸素状態を検出する赤色発光イリジウム錯体BTPを開発し、「活性酸素ROSが低酸素状態で増加するのはなぜか」と云う問題の解決を試みた。実験は、代謝機能を調節しやすいラット心筋培養細胞を用いた。βアゴニストで心筋細胞の拍動が増すとBTP発光の増強から低酸素状態が確認され、それはβブロッカーで減弱した。 次に、ROS発生を緑色蛍光プローブRF-TMROSで観察すると、BTP発光に応じて緑色発光が増強した。しかし、活性グルタチオンGSHを加えると低酸素状態でも緑色発光は弱いままだった。低酸素状態でROSが増加するのはGSH-ペルオキシダーゼのROS消去活性が弱まるためと推測された。
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