研究課題
様々な生命活動に重要な役割を果たす電位依存性ナトリウムチャネル(NaVCh)は、現在9つのサブタイプが知られる。これらは、テトロドトキシン依存型(TTX-s)と抵抗型(TTX-r)とに分類される。TTX-sに対するリガンドは、天然海産毒テトロドトキシン、サキシトキシン等が知られるが、TTX-rへの阻害活性を示すリガンドは、いまだ天然からも人工合成化合物からも見いだされていない。本研究では、我々のサキシトキシン(STX)の全合成の成果と、報告されたSTX-ナトリウムチャネルのドッキングスタディの知見を基盤とし、STXの構造展開によるTTX-r型リガンドの創製を目的とした。(1)STX誘導体類として初めてC13位に窒素官能基であるグアニジンおよびウレア基が導入された誘導体の合成を達成した。これら両官能基は天然物と同様水素結合供与能を有し、空間的な大きさもほぼ等しいが、電子的な要因が異なる。またこの領域は、サブタイプ間での配列が顕著に異なる領域である。そこで合成した両化合物についてパッチクランプによるTTX-r型チャネル(NaV1.5)の阻害活性を評価したが、顕著な阻害活性は観測されなかった。(2)STXの5員環グアニジン部位と相互作用部位についても、TTX-sとTTX-rのサブタイプ間に差異が観察される。そこで、5員環グアニジンを環状ウレア型に変換したdc-STX型化合物とSTX型化合物の合成を行った。これらに対しパッチクランプ法によるTTX-s(NaV1.4)とTTX-r(NaV1.5)への阻害活性評価を行った。しかしいずれのチャネルに対しても、著しく阻害活性が低下することがわかった。STXの上記構造展開によるTTX-r型への阻害剤の開発は達成できなかった。一方、本構造活性相関研究を通じ、STXへの様々な部位への構造展開を可能とする新たな合成基盤を構築することができた。
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