生体内にてグラム陰性細菌の外膜がバディングして、アウターメンブランベシクル(OMV)が分泌することが知られている。外膜構成物のみならず病原因子も含まれるOMVは、ヒト抗菌性ペプチドが病原細菌を攻撃するときのトラップとして働くのかどうか調べた。ヒト抗菌性ペプチドであるhuman β-defensin-2(hBD-2)による大腸菌への抗菌活性はアッセイ系にOMVを添加した結果、OMVの濃度依存的に大腸菌への抗菌活性の阻害が認められた。このような阻害作用は、OMVがhBD-2と直接相互作用をおこなっているのかどうか、蛍光標識hBD-2とOMVの相互作用を蛍光相関分光法にて調べた結果、hBD-2とOMVの直接の結合が認められた。以上の結果は、ヒト抗菌性ペプチドhBD-2とOMVが直接結合することによりOMVが抗菌活性に対して防御的に働くことがわかった。
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