研究課題
本研究では、酸化ストレスに対する硫化水素 (H2S) の応答メカニズムを、含流アミノ酸代謝調節の観点から明らかにすることを目的とする。平成25年度までの成果として、チオールの蛍光プローブとして知られるmonobromobimaneを利用し、H2S、システイン (Cys)、システインパースルフィド (Cys-SH)、ホモシステイン(HmCys)、ホモシステインパースルフィド (HmCys-SH)、還元型グルタチオン (GSH)、還元型グルタチオンパースルフィド (GSSH)を定量する系を確立した。この方法を用いて、定常酸素濃度条件(21%) と低酸素濃度条件 (6%) それぞれで飼育したマウスから摘出した脳組織抽出液中のチオール類を定量した結果、H2Sは有意な差が得られなかったが、CysとCys-SHは定常酸素濃度条件に比べて低酸素濃度条件で有意に増加した。これらの結果から、硫酸代謝を検討するにあたり、H2Sのみならずジスルフィドを含めたチオール類の系統的検討が必須であることがわかった。最終年度は、マウスを用いた検討を行った。SQR (sulfide quinone reductase-like) は硫化水素を細胞内で分解するミトコンドリア膜タンパク質である。SQRをノックダウンしたマウスは心筋におけるミトコンドリアの損傷による心不全の障害を引き起こす。そこでSQRノックダウンマウスを高含硫化合物モデルと捉え、心臓組織中のチオール類の定量を行ったところ、H2Sのみならず、Cys-SH、GSSH、HmCysが野生型に比べて有意に増加していることが確認出来た。今後は、低含硫化合物モデルと考えられるcystathioninebeta–synthaseをノックアウトしたマウスも併用してチオール類の参加ストレスに対する役割について検討を続ける予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件)
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