小笠原諸島に次いで外来種グリーンアノールの定着が確認された沖縄島において、前者と同様に高率なSalmonella保菌が認められるか否かを調べた。また、その保菌率が経年的変化を示しているかを理解するため、過去に採取され保存されていた試料を用いて分析した。さらに、ヒト生活環境との関連を評価するために、本種が保有する大腸菌の薬剤耐性を調べた。 2009年から2013年の間に沖縄島で捕獲され環境省那覇事務所で冷凍保存されていたグリーンアノールの死体を譲り受けた。死体を融解後、腸内容を採取しSalmonella検出の試料とした。検査に供した試料数は446で、その内訳は2009年に捕獲された個体からの検体数が178、2010年が100、2011年が130、2013年が38であった。前培養および増菌培養後にSalmonellaが検出されたのは9検体で、2009年と2010年および2013年に捕獲された個体からであった。検査精度を高めるためにSalmonellaの侵入性因子関連遺伝子(invA)をターゲットにしたPCR法およびLAMP法も同時に行ったが、いずれの方法でも結果は同様であった。 沖縄島におけるグリーンアノールのSalmonella保菌率は2.0%で、小笠原諸島の保菌率(>30%)に比較すると極めて低率であった。さらに血清型別は、S. WeltevredenとS. Enteridisが中心であり、小笠原諸島で大半を占めていたS. Oranienburgは検出されなかった。 大腸菌については、2010年から2011年の間に捕獲されたグリーンアノール200個体を検査し、そのうち42検体(21.0%)から検出された。分離株の薬剤耐性については、OTC単剤耐性が1検体、CET単剤耐性が10検体、ABPC-CETの2剤耐性が1検体認められた。
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