研究課題/領域番号 |
24651272
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 肖子 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (90377143)
|
研究分担者 |
西川 芳昭 龍谷大学, 経済学部, 教授 (80290641)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | アフリカ研究 / 市民性教育 / 民主化 / 教科書分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、エチオピア、南アフリカ、ケニアの3ヶ国において、中等教育段階の公民及び歴史教科書の内容分析を行い、民主主義、市民性、固有の文化・歴史が教育提供主体によってどのように認識され、学校教育の場で伝達されようとしているのかを把握することを目指している。 平成24年度には、研究の第一段階として、エチオピア、ケニア、南アフリカ3か国において、過去20年間の歴史・公民教科書、教員指導書、カリキュラム、シラバスを収集した。そのうえで、科目の中での概念の定義、教授法、学習者に身につけさせようとしている能力がどのように異なるかを、(1)一つの国の中での異なる時期、(2)複数の教科書会社間、(3)国家間、の3つの軸で比較した。比較を行うため、共通の比較基準を設ける必要があるが、そのためにはカリキュラムやシラバスから変遷のパターンや共通性などを大雑把につかむ必要がある。そこで、各国での資料収集後、数か月かけてカリキュラム、シラバスの傾向分析を行った。 平成25年度には、3か国比較のため、上記の作業結果に基づき、各国研究協力者によるワークショップを開催し、分析手法を共有化する。申請者がエチオピアの教科書で試験的に用いた分類項目を基に、(1)教科書の章立て、(2)記述の手法、(3)取り上げられている概念、(4)その概念を取り上げる際の教科書のスタンス(肯定的、中立的、否定的)、(5)生徒に身に付けさせようとしている能力(知識の定着、個人としての行動、対人関係における態度・行動、市民としての態度・行動)、(6)言及している社会・人の単位(個人、地域社会、国、国際社会)など、共通の分類項目を作成し、比較分析を行った。 平成26年度には、主に、分析結果のとりまとめと、補足的なインタビュー調査を行った。学会発表等を積極的に行う予定であったが、エボラ出血熱の発生等で研究協力者の渡航が困難になり、研究期間を延長した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事例参加国での教科書収集、横断的分析枠組みに基づく分析は概ね順調に行われ、論文化作業も順調に進んでいる。ただし、エボラ出血熱の拡大などにより、一時、アフリカからの研究協力者の渡航や日本からの出張を自粛したため、学会や政策形成者向けセミナーを延期した。
|
今後の研究の推進方策 |
27年度は学会発表、セミナー等を開催し、積極的に研究成果普及に努める。既に発表した論文は、エチオピアで5年に一度の国政選挙が行われることもあり、学校での民主主義教育、市民性教育への関心が高まっており、ウェブ等で高い関心を持って読まれている。このことから、本研究分野での研究需要は高く、先行研究も少ないことから、今後は、アフリカのほかの国でも同様の教科書分析を行い、研究のスコープを拡大することを検討したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
西アフリカにおいてエボラ出血熱が発生し、本研究対象国は直接の影響は受けていなかったものの、研究協力者の渡航が制限されるなどの事情から、成果発信のための出張を次年度に持ち越すこととした。
|
次年度使用額の使用計画 |
27年度中に、学会発表、南アフリカ国での成果普及ワークショップを実施する予定である。昨年度よりも分析が深まっていることから、より効果的な成果発信ができるものと思われる。
|