研究課題
本研究は、エチオピア、南アフリカ、ケニアの3ヶ国において、中等教育段階の公民及び歴史教科書の内容分析を行い、民主主義、市民性、固有の文化・歴史が教育提供主体によってどのように認識され、学校教育の場で伝達されようとしているのかを把握することを目指した。平成24年度には、研究の第一段階として、エチオピア、ケニア、南アフリカ3か国において、過去20年間の歴史・公民教科書、教員指導書、カリキュラム、シラバスを収集した。そのうえで、科目の中での概念の定義、教授法、学習者に身につけさせようとしている能力がどのように異なるかを、(1)一つの国の中での異なる時期、(2)複数の教科書会社間、(3)国家間、の3つの軸で比較した。比較を行うため、共通の比較基準を設ける必要があるが、そのためにはカリキュラムやシラバスから変遷のパターンや共通性などを大雑把につかむ必要がある。そこで、各国での資料収集後、数か月かけてカリキュラム、シラバスの傾向分析を行った。平成25年度には、3か国比較のため、上記の作業結果に基づき、各国研究協力者によるワークショップを開催し、分析手法を共有化した。申請者がエチオピアの教科書で試験的に用いた分類項目を基に、(1)教科書の章立て、(2)記述の手法、(3)取り上げられている概念、(4)その概念を取り上げる際の教科書のスタンス(肯定的、中立的、否定的)、(5)生徒に身に付けさせようとしている能力(知識の定着、個人としての行動、対人関係における態度・行動、市民としての態度・行動)、(6)言及している社会・人の単位(個人、地域社会、国、国際社会)など、共通の分類項目を作成し、比較分析を行った。エボラ出血熱の発生等で研究協力者の渡航が困難になり、研究期間を延長したが、平成27年度には、研究成果のとりまとめが進み、国際学会等でも発表を行うことができた。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (5件)
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