研究課題/領域番号 |
24651273
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
澤村 信英 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30294599)
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研究分担者 |
デロスレイエス C 大阪大学, 人間科学研究科, 非常勤講師 (10599252)
中村 安秀 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60260486)
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キーワード | 国際開発学 / 教育学 / 保健学 / 発展途上国 / 地域研究 |
研究概要 |
国連で合意した国際開発目標の中心は教育と保健の課題であり、この2分野は密接に関連している。したがって、教育と保健の各分野における研究には膨大な蓄積がある一方で、一部の計量的分析を除けば、2分野は融合することなく、個別に研究成果が並べられることが多い。これは現実の対象に合わせて調査研究の枠組みを新たに構築するのではなく、調査者があらかじめ決めた枠に現実を逆に当てはめようとするために起こることである。本研究では、教育と保健を統合した研究を目指し、それぞれの分野の専門性を有する研究者によりフィールドワークを合同で行い、研究成果を協働して紡ぎ出すことに特徴がある。これが実現できれば、途上国を対象とする国際開発研究において人間科学的な側面を一段と強化できる。 前年度の予備調査の結果およびその分析をもとに、ケニアで初等教育の日常生活面での効果について、マサイ女性(中等学校へ進学していない)を対象とした本格調査を行った。調査の結果、(1)対等な夫婦関係の構築、(2)家族の衛生と健康の改善、(3)友人関係など社会的ネットワークの拡大、(4)公用語(英語・スワヒリ語)の習得、(5)計画力、ソフトスキルの獲得、(6)基礎的ビジネス、生活改善スキルの習得の効果が明らかになった。このような効果が現れる理由として、学校活動を通じた、エクスポージャー(exposure)とインタラクション(interaction)の2つがカギとしてある。また、南スーダンにおいて補完的調査を行った。これらの研究成果は、中間報告として、国際会議(UKFIET:英国国際教育訓練フォーラム)および国内学会(アフリカ教育研究フォーラム、日本アフリカ学会など)の学術大会の機会を活用し、他の研究者とも積極的に交流を図り、意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィールド調査および研究成果の発表をほぼ計画どおり効果的、効率的に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の総括段階として、これまでの調査の成果を踏まえ、あらたな研究の視点として有望な事項について集中的に補足調査を行う。必要があれば、ケニアにおける補足調査に代え、ケニアの近隣国での調査も検討する。研究成果の発表は、予算の有効活用から国内の学界にとどめるが、論文発表は国際ジャーナルへの投稿を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ケニアで予定していた調査が、現地共同研究者の都合等により延期になった。 平成25年度に計画していた現地調査は、平成26年7~9月に実施する予定である。
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