本研究は、総合的地域研究の立場から、小規模な紛争が勃発している東アフリカ遊牧社会を対象として、劣悪な国家ガヴァナンス状況下における複雑な様態を、臨地調査研究によって描出する新たな民族誌的アプローチを開拓することを試みた。 その結果、「構造的機能不全主義(国家の長期にわたる機能不全との関係で地域社会を捉え直す理論)」という理論的アプローチを案出し、ローカル・ガヴァナンスと国家ガヴァナンスの関係性を「(機能不全に陥った)国家を代替する社会」という視点から描き出す新たな民族誌的アプローチを創出することができた。
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