本研究は、日本の直接投資が、タイの自動車産業におけるローカル企業形成に対して与えた影響を明らかにすることを目的としている。 1950年代から2008年の期間にタイで設立された自動車部品メーカー625社のデータを分析した結果、約半数が日系企業であった。2008年のリーマンショック後は、日本から小規模あるいは零細な部品メーカーが、数多くタイに進出した。そのため、これまでの日本からの直接投資により、形成されてきたタイ資本の部品メーカーは、日本企業との厳しい競争に直面している。技術力に勝るタイ企業でなければ、生き残りは困難であろう。ここに、日本資本依存型のタイ経済発展モデルの限界をみることができる。
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