本研究はマレーシアにおいて女性がどのように表象されてきているのかを、女性器切除(FGM)をめぐる言説をみることによって、植民地主義、ナショナリズム、多民族社会、イスラムとの関係から明らかにしようとした。本研究においてわかったことは大きく以下の二つである。第一に、マレーシアのFGMが近年のイスラム復興の動きの中であらためて見いだされかつ強化されており、その動きがマレーシアのマジョリティであるマレー系を中心としたナショナリズムと呼応していること。第二に、FGMの研究とそれにともなう言説がアフリカにおける状況を中心に形成されており、マレーシアの状況に合致しないことである。
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