研究課題
2012年度における基礎的な調査を踏まえ、2013年度は、1970年代以降の日本におけるアナーキズムの状況についてインタビューを実施し、証言を得た。特に1968年末にアナキスト連盟が解散した経緯や背景、同時期に形成された新しい世代による新たなアナーキズム運動、旧世代とこれら新世代との関係、同時期におけるグローバルなアナーキズム運動と日本の運動との関係、1980年代以降に旧世代と新世代が連携するなかで生まれた新しい運動、2000年代に入って生まれる「新しいアナーキズム」「新しいアナーキスト」等に関する証言を得た。こういった証言を基礎にしながら、現在と過去、および未来を結びつけ、また、日本をアジアさらにグローバルな文脈の中に設定することを検討するために、ガブリエル・クーン氏を招聘し、2013年11月16日に明治大学リバティータワーにおいて、国際シンポジウム「グローバル・アナーキズムの過去・現在・未来~世界とアジアをつなぐために」を開催し、クーン氏、研究代表者田中ひかるの他に、飛矢崎雅也氏(明治大学)、栗原康氏(武蔵野学院大学)、樋口拓朗氏による報告、および仲田教人氏、山中千春氏(日本大学)によるコメント、さらに討論を行い、50名以上の聴衆とともにグローバル・アナーキズムや「新しいアナーキズム」に関わる問題、日本のアナーキズム運動の過去・現在・未来に関わる多様な問題について、通訳を交えて意見を交換した。日本のアナーキズム史をグローバルな文脈の中に設定するという目的を持つ本科研にとって、このシンポジウムはきわめて有益なものとなった。シンポジウムに関しては事前に「関西アナーキズム研究会」のブログを通じて日本語と英語により告知することで国際的にアピールすることに成功した。
2: おおむね順調に進展している
計画していたとおりのインタビュー件数ではなかったが、それらの内容に関しては、研究の目的を達成する上で重要なものであり、これによって最終年度の研究計画を実現することが可能になったため。
最終年度においては、前年度に新たに対象者として候補に挙がった人々に対して補充のインタビューを実施する。これにより、当初の目標通りの調査内容を達成する。また、現代日本アナーキズム史について整理した上で、専門家・関係者の意見を聞きながら調整を行い、最終的には、英語等で国外でも発表することを目指す。
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アナキズム
巻: 17 ページ: 19-37
トスキナア
巻: 17 ページ: 8-16
Japan and High Treason Incident (Routledge Contemporary Japan Series), Edited by Masako Gavin and Ben Middleton, London/ New York, Routledge
巻: 0 ページ: 80-88
大杉栄と仲間たち 『近代思想』創刊100年、ぱる出版
巻: 0 ページ: 118-128