最終年度となる本年度は、本研究で最も注目してきた中国岩彩画の教育カリキュラムと実情を確認するために広州美術学院を再訪問し、教員らとの意見交換と情報収集を行った。また、韓国の韓国画(東洋画)における模写教育、模写事業の調査のために、扶余にある伝統文化大学校を訪問して、実習室の見学と教員らとの意見交換を行った。(伝統文化大学校は、これまでに訪問してきた一般的な美術大学と異なり、伝統技法の継承や文化財保存を教育の目的としている。)また、松岡映丘と新興大和絵の画家たちに関する資料を収集し、古典と創作との関係性について考察を深めた。これらの成果は、先の2年度の調査結果と総合して平成27年秋に刊行する著書の中において一部を公開していく予定である。 また、日本統治時代に朝鮮で暮らし、朝鮮美術展覧会で特選を重ねた日本人画家・安保道子と内地在住の師・木下春との書簡を翻刻、書簡とともに往復した下図等の資料分析し、当時の日本画教育の在り方を考察した。その成果は、東京藝術大学美術学部紀要第52号に研究協力者である日比野民蓉との共著で報告している。
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